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第38話

どうやら、 和音との関係に危機が迫っているようだ……。 しかし、飛鳥が恐怖におののく間に和音が口を開いた。 「遊郭に入ったから男に惚れたわけではありません!それでも、男を相手にする場に私を放り込んだのは父さんではないですか!!」 「あの時は、商いが苦境に立たされていたからな。稼げる場として、あそこしかなかった!仕方なかったんだ!」 声を荒げる父親に対して、和音は憎しみのこもった声で言う。 「私がどんな思いであの場所に入ったか、あなたには分からないでしょう?地獄だ。毎日が地獄でしたよ。当然、父さんのことも恨みました」 「私としても苦渋の決断だったんだ。申し訳なく思っている。しかし、お前がまさかそういう性思考で、男とデキているなんて思いもしなかったんだ!」 「がっかりしましたか?私が男しか愛せない人間で……」 「そうだな……お前には家業の店を継いで、嫁を娶ってもらわねばならないからな」 「その気はないと伝えたはずです。第一、この店も始めたばかりです」 そう言って和音が拒否すると、父親は息子の腕を掴んだ。 「何をするんです!?」 「お前は家に帰るんだ!年季が明けたら帰ってくるはずではなかったのか!?」 「待ってください!」 和音は反発して、父親の腕を振り払った。 「私に逆らえるとでも思っているのか!?」 「息子を陰間茶屋なんかに送っておいて、今さら何だって言うんですか」 和音の顔は、飛鳥も怯えそうになるほどに怒りに満ちていた。 「お前は我が家に生まれたのだから、父親の言う通りにするのが当たり前だろう!」 「私の人生です!あの店での日々は辛いこともあったが、これからは愛する人とひっそり暮らしていきます」 そう決意を述べた和音だが、再び父親に腕を掴まれてしまう。 「長男も他所に行ってしまい、店は継がないと言っているんだ。頼めるのはお前しかいない!だから戻ってくるんだ!」 父親はそうまくし立てると、和音の腕を引っ張りそのまま連れていってしまったのだ。 「飛鳥ー!」 愛する人の悲痛な叫び声が、いつまでも飛鳥の耳から離れない。

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