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第5話

俺の足を肩に担いだ嶋根がガツガツと俺の奥を穿つ。 イきすぎて苦しいのに体に力が入らないので抵抗する術がなかった。 「んっああっ…、宝ぁ苦しい…」 そう言って彼の腕を掴む。 彼はそんな俺を見下ろして苦しそうな表情になった。 「あー…、それ(呼び捨て)やばいわ。 颯也の中たまんない。ずっと中にいたい」 そう言って苦し気に口角を上げる嶋根の顔がかっこよくてまた腹の奥がうねる。 「俺、宝くんの顔好き」 もともと嶋根の顔は好きだけれど、幻覚だからかよりかっこよく見える。 嶋根はふはっと声を漏らすように笑った。 「顔だけ? 俺は颯也の顔も体も性格も全部好きだよ」 最近の嶋根は行為中、よく可愛いだの好きだのと褒めてくれる。 そのたびに胸がぎゅんとして盛り上がってしまうのだけれど、行為が終わればまた"皆の宝くん"に戻ってしまうから信じないようにしていた。 でも、これは俺に都合のいい夢のようなものなので今日くらいは信じていいことにしようと思った。 「好き。 俺も宝くんが好き。 誰のところにもいかないで…」 俺の上で腰を振っていた嶋根の動きが止まる。 目を見開いて俺を見下ろしていた。 「それ、やばい…」と小さく呻くと彼は体を震わせた。 俺の腹はとっくにぐちゃぐちゃで分からないけれど、多分、嶋根もイったのだろう。 嶋根は俺の中から出ると、横に寝っ転がった。 「あー…、一週間分抱きたいのに颯也が可愛すぎて無理。もたない」 そう漏らした後、寝返りを打って俺のほうを向く。 彼の眼は愛おしいものでも見るように細められている。 「今日は素直でいつもより可愛い」 そりゃそうだよ。 俺の本音を素直に言ったら、嶋根は別れようって言うはずだもん。 「今日の嶋根くんは幻覚だから…、夢だから、本当のことを言っていいんだもん」 俺が口を尖らせると、彼は困ったように笑う。 「夢じゃないよ。 本物の宝くんだよ」 俺は首を横に振る。 「頑固だなぁ…。 じゃあ明日起きたら証明できるように証拠残しとく」 言葉は呆れているように聞こえるけれど、優しく微笑んでいる。 そして俺の手を取ると、手首の内側の柔らかいところに唇を寄せた。 ジュっと音がしてチクリとした痛みが走る。 彼が顔を離すとそこにくっきりとキスマークが付けられていた。 「これ、残ってたら今日のことはほんとだって信じてね」 「…うん」 こんなに自分に都合のいい出来事が本当であるわけがないと思いつつも頷く。 「はぁ…、クッタクタだけど洗わなきゃね。 颯也は何もしなくていいから体預けてて」 そう言って起き上がった彼が俺を抱き上げる。 「夢なんだからそんなことしなくていいよ」 「俺にとっては夢じゃねぇの」 俺はむっと黙ってされるがままになる。 彼は浴室で十分すぎるくらい後ろを洗って、汗も流してくれた。 流れていく白濁を眺めながら呟く。 「俺は男だから…、女の子と違って既成事実作れないもんね」 「ん?既成事実作りたかったの?」 俺は首だけで頷く。 「そしたら、宝くんを俺のところに縛り付けられたのに」 「や、やだぁ可愛いぃ」と、嶋根は二丁目のママ顔負けのだみ声で言い、俺を強く抱きしめる。 彼の固い腕が乳首に擦れて「んっ」と体をビクつかせてしまった。 それに気づいたのか「ははっ…、体はクタクタなのに颯也と触れ合ってると勝手にちんぽ起つわ」と彼は笑った。 腰に当たる彼の熱に、俺も疲れた体が反応する。 俺も同じみたい。 どれだけ疲れてても彼と繋がっていたい。 「もう一回する?」 後ろで俺を支える嶋根を振り返る。 目が合った彼は「え…」とこぼし、俺を真顔で見下ろしている。 なんかさらに硬さを増しているような… 彼は数秒固まった後「いや、いい」と言って表情を緩めた。 「颯也に無理させたくない」 「無理なんかじゃないけど」 俺は所詮、都合のいい恋人なんだから彼がシたいならすればいい。 「いい。 颯也のこと大切にしたい」 「…」 「それにまた明日もすればいいから。 あ、颯也さえよければだけど」 「…、うん」 明日にはこの幻覚は消えているかもしれない。 でも、彼が望むのなら…、俺の体でいいならいくらでも差し出す。 「さ、風邪ひくと悪いから早くベッドに戻ろうな」 と彼が立ち上がり俺の体と自分の体をさっと拭くと、互いに全裸のままベッドに運ばれる。 彼のベッドに入れられ、裸のまま布団をかけられ、抱きしめられる。 シングルなので少し狭い。 「俺、自分のベッドで寝るよ?」 俺がそういうと彼は目を眇(すが)めた。 「なんでそんな寂しいこと言うの?」 「え、え?だって狭くない?」 「じゃあ明日ダブルベッド買いに行こう?」 「…え? 一緒に寝たいの?」 「だめなの?」 「だめじゃないけど…」 でも、そういうのって彼にとっては煩(わずら)わしいのではないだろうか? そう考えたところで手首の青あざが目に入った。 そうだ。 どうせこれは夢なんだ。 夢なら好きに話しちゃえばいい。 「ううん。一緒に眠れるの嬉しい。 明日も明後日も宝くんと同じベッドで寝たい」 「っ!! 颯也可愛い無理好き」 嶋根はそう言うと苦しいくらいに俺を抱きしめる。 夢。 夢の中のはずなのにすごく眠くて俺は「俺も好き」とかむにゃむにゃ言いながら眠りに落ちた。

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