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第13話 抗えぬ性 ※R描写あり

「……どうせ交わるなら、お互い楽しんだほうが得だろう?」 「俺は楽しくねぇ」  即答すると、ジルヴァは真顔でほんの少しだけ首を傾げた。 「そうか……。ではお前のことを教えてくれ。人間はどこをどうしたらよがるのか」 「ハッ、王様自ら異星人の性教育講座のご受講かよ。いいからさっさと……っ、……!?」  挑発を言い切るより早く、首筋の皮膚へ直接、ジルヴァの熱い鼻息が吹きかかった。  すっと息を吸い込んだ王の身体が、一瞬だけ動きを止め、陶然とした声で呟いた。 ​「……以前、お前から雌の匂いがすると言ったが……修正しよう。どの雌とも違う、酩酊するような匂いだ」 「……ッ、ハ……っ」  低く掠れた声が耳朶を揺らした瞬間、ぐらりと視界が揺れた。  発情期でもないはずの身体が、うなじを削ぐような王の吸気とフェロモンに反応し、裏切り者のようにカッと熱を帯びる。 「……ほう。首筋に息を吹きかけただけでこれほど乱れるとは。言葉で教わるまでもなく、お前の身体は分かりやすいな」 (……チッ、こいつオメガの生理現象すら知らねぇ癖に……っ!) 「……っ、つべこべ言ってねぇで、さっさと終わらせろ。作業だろ、こんなの」  顔を背けながら言い捨てる俺に、ジルヴァはクスッと低い鼻笑いを漏らす。 「作業、か。ならば何故、お前の身体はそんなふうに熱を帯びる?」 「っ……! それはあんたのフェロモンのせいだろ……っあ!」  耳根に落とされた深い甘噛みと、丁寧に皮膚を滑る大きな手のひら。  急ぐ気など更々ない、焦らすような手つきで、​ジルヴァの大きな手が、俺の下腹部へ滑り落ちる。 「急ぐ必要はない。お前の声が甘く変わるまで、一晩中かけて染み込ませてやる」 「ふざけ……っ、ん、ああぁっ……!」  驚くほど熱く、分厚い肉球の弾力が、俺自身を包み込む。  むにゅり、と圧力をかけて捏ね上げられた瞬間、背筋を電撃が駆け抜けた。  人間の手とはまるで違う、吸い付くような肉感と圧倒的な体温。指先ではなく、手のひら全体の弾力でじわじわと揉み解される快楽に、つま先がキュッと跳ね上がる。 (……なんだよ、これ……っ! 触られただけで、身体が勝手に求めてやがる……っ)  軍の隔離施設にいた頃には、こんな感覚は一度だって知らなかった。  アルファという存在の異質な圧力。それが俺を単なるオメガとして塗りつぶし、手の中でトロトロに解していく感覚に、背筋を絶望と悪寒が駆け抜ける。  あろうことか俺の身体は、この身勝手な王の愛撫を、本能の底で『もっとくれ』と喜んで受け入れ始めているのだ。 「……なるほど。生殖器への直接的な刺激への反応は我らと大差ないな」 「……っ、るせぇ……黙れ……っ!」  ジルヴァは返事の代わりに、喉の奥を満足げに鳴らした。  肉球の腹で先端をむにゅりと押し潰すたび、手のひらの中で粘り気を帯びた熱い水音がグチュリと跳ねる。 「黙れと言われてもな。……手の中でこれほど溢れさせられては、お前の強がりなど何の説得力もないぞ」 「……ぁっ、は、……く……ッ! 」 「ほら、言ってみろ。どうして欲しい?」  ジルヴァはわざと竿を握りしめたまま、丸い爪の先端で敏感な場所を引っ掻くように弄ぶ。 「……っ、も、さっさと挿れろ……っ」 「強情だな」  ジルヴァは鼻腔を鳴らして低く笑うと、すんなり応じるどころか、ペニスを包み込んでいた握りをあえて緩めた。 ​「あっ……っ!?」  解放された快感の余韻を味わう隙すら与えず、今度は分厚い肉球の腹で鈴口の先端を滑らせ、押し潰すように圧をかけてゆっくりと円を描き始める。挿入という最大の焦がれを目前でお預けにされた焦燥と、先端だけをちくちくと捏ね回されるもどかしさに、脳の裏側がジリジリと痺れた。 「あ、クソ……っ! この……変態野郎……っ!」 「その変態野郎に涎を垂らしてるのはどこのどいつだ?」  ジルヴァは意地悪く笑いながら、うなじの皮膚へと深く鼻先を埋めた。さらに濃厚な雄のフェロモンを直接叩き込みながら、両手で俺の下半身を執拗に攻め立てる。  片方の掌の熱く分厚い肉球で根元から先っぽまでをじっくりと圧迫し、もう片方の大きな手で太ももの内側から脚の付け根にかけての柔らかい皮膚を、爪を立てない絶妙な力加減で愛撫していく。 「……っ、ぁ」 「……言ったはずだ。作業のように終わらせるつもりは無い。……その冷めきった目が快楽で甘く濁り、自ら俺を乞うまで、決して許してなどやらん」  強引に力で貫いて終わらせる方が遥かに容易い。だが、この覇王はそれを絶対に選ばない。  軍人としての冷めた理性の欠片すら残さず、俺の口からプライドを捨てた哀願を引き出すまで、徹底的に焦らし抜く気なのだ。 「あ、ぐ……ッ! それ、やめろ……っ……ッ!」 「やめろ、じゃない。もっと、だろう?」  耳元で囁かれる低音が、鼓膜を通して全身の筋肉を弛緩させていく。  オメガであるこの身体が、完全にアルファのフェロモンと、肉食獣特有の重く熱い愛撫に完全に屈していた。  ジルヴァは粘り気のある先走りを爪の先に絡めると、そのまま開かされた太ももの内側を滑らせ、未だ手付かずのまま疼く最奥の入口へと、意地悪く押し当てるように滑らせた。 「ぁっ……!? ば、バカ……ッ、もっ、早くしろよ……!」 ​「挿れて欲しければ、その強情な口で乞え。……なにが欲しいのか、言ってみろ」  焦らし抜かれた身体の奥に、熱い塊を突き立てて欲しくてたまらないのに、与えられるのは寸止めのような生殺しの快楽だけ。  冷めた態度でやり過ごそうとした自分の甘さを思い知りながら、俺は灼けるような屈辱と背徳感の中で、ついに途切れがちな喘ぎ声を漏らし始めた。 「……あんたが、欲し……い……」 「俺の名を呼べ……グレン」  ジルヴァの太い爪がツプリと後孔に押し込まれた瞬間。アルファの匂いに麻痺しきった身体が歓喜するようにビクリと大きく跳ねた。 「あッ、はぁうっ……! ジ、ルヴァ……っ!」  情けない声でその名を呼んでしまったが最後、俺の理性は完全に終わりを告げた。  名を呼ばれた王は喉の奥で深いうなり声を上げ、太い指を二本、三本と容赦なく奥へ押し滑らせてくる。  人間のそれより遥かに熱く、太い関節が、愛液で塗れた内壁をギチギチと押し広げていく。鋭利ではない硬い爪の先が、奥の最も熱く敏感な天井を強烈に擦り上げた。 「あぁっ……!? うっ……く……っ!」 ​「ずいぶん素直になってきたな……。聞こえるか? お前の身体が俺の指を貪る、卑猥な音が」  ぐちゅり、と内壁を捏ね回されるたびに生々しい水音が部屋に響き渡る。  拒絶したいはずの指なのに、締め付けた粘膜は吸い付くようにジルヴァの熱を離そうとしない。 「……ご褒美だ。お前が欲しがっていた本物を、叩き込んでやろう」  ずるりと引き抜かれた指のかわりに、すぐさま灼熱の肉塊が、圧倒的な質量を持って一気に俺を貫いた。  脳天を突き抜けるような快楽と多幸感に、呼吸すら忘れ、まるで逃がすまいとするように、無意識のうちに、腕と脚をジルヴァの身体に絡みつけていた。  親子ほどもある体格差のせいで、俺の顔はジルヴァの胸元を覆う豊かな鬣にすっぽりと埋まった。彼が覆いかぶさるだけで、窓から射す二つの月明かりが遮られ、暗幕のように閉じられた俺の世界は、残らずこの男に支配されていた。  雄を感じさせる獣特有の匂いの中に、日照りに揺れる花と土のような香りが混じっている。その香りをもっと求めるように、俺は深く息を吸い込みながら、夢中で鬣に頬を擦り寄せた。  背中にしがみつく手には力が入り、ゴワついた体毛を毟り取るほどの勢いで鷲掴みにしてしまう。だが、ジルヴァは痛がるどころか恍惚とした吐息を漏らし、胸元に埋まる俺の頭を、大きな掌で愛おしそうに撫でつけた。  そんな何気ない動作にすらオメガの身体は歓喜して震え、無意識のうちに後孔がジルヴァの屹立をぎちぎちと締め付ける。それに呼応するように、体内の奥深くに埋め込まれた熱塊が、逃げ場のない圧迫感を持ってさらに大きく脈打った。  喉の奥から掠れるように漏れ出る声は、もう自分のものではなかった。どこまでも貪欲になった身体が、もっとめちゃくちゃに穿ってほしいと乞うように、腰を妖しくくねらせる。  ジルヴァは低く喉を鳴らしながら俺の髪に鼻先を埋めると、太い腕を膝裏に差し込んできた。容易く両脚を抱え上げて開き、さらに深く穿つための体勢へと組み替えられる。股関節が限界まで開かされた。  奥の奥まで容赦なく熱塊が押し込まれ、折りたたまれた体勢のまま、深く重いストロークに翻弄される。  逃げ場のない角度で突き穿たれるたび、粘膜の奥にあるもっとも敏感な芯が直撃され、結合部から泡立った愛液が尾てい骨へと零れ落ちていく。 「……っ、あっ!?」  不意に、先端からサラサラとした液体が勢いよく断続的に弾け飛んだ。汗ばんだ腹の筋肉の割れ目を伝って落ちていくそれを、射精ではないと自覚する間すら与えられない。  ジルヴァは容赦なく腰を打ちつけ、俺の混乱ごと快楽の渦へと叩き落としていく。  耳に届くのは、ジルヴァの熱い吐息と、二つの肉体が激しくぶつかる淫靡な音。そして——自分を組み敷く男の名しか呼べなくなった、情けない俺の喘ぎ声だけだった。 「あっ、ジルヴァ……っ、ジルヴァ……」 「……グレン……っ」  もう限界だった。  ジルヴァが俺を掻き抱き、押し潰す勢いで全体重をかけて伸しかかる。微細な痙攣とともに最奥を深く穿たれた瞬間、熱い奔流が体内でドクドクと弾けた。  俺もまた、すべての理性を手放すように、激しく精を放っていた。  激しい怒濤の絶頂が去り、俺はベッドに脱力したまま荒い息を吐き出していた。  全身の力が抜け、指一本動かす気力すら残っていない。上から覆いかぶさるジルヴァの重圧に押し潰されながら、さっきまでの無様な自分への恥ずかしさを誤魔化すように、俺は掠れた声でなんとか抗議を口にする。 「はぁ……っ、重い……。いつまでこうしてるつもりだ? いい加減……どいてくれ……」  だが、ジルヴァは退くどころか、低く満足げに喉を鳴らすだけだ。  痺れる身体を叱咤し、ずるずると腰を引いて身体を離そうとした——その時。 「……ッ!? あ……っ!?」  繋がったまま、内側で尋常じゃない体温とともに膨らんだ熱塊が、引き抜こうとした動きを完全にロックしていた。内部から肉壁を限界まで押し広げて密閉されている。 「……はっ!? なんだこれ、抜けねぇ……っ、ジルヴァ、おい……ッ!?」 「……しばらくは抜けん。俺の匂いを、貴様に刻みつけるまではな」  パニックになる俺の耳元で、甘く低く囁くジルヴァの熱い吐息。  根元で大きく膨らみきった亀頭球(ノット)が、まるで頑丈な栓をするように、結合部のすぐ内側を太く締め上げていた。 「これ、いつ抜けるんだよ……?」  焦って逃げ出そうと無意識に奥を締め収縮させると、上のジルヴァが低く息を呑んだ。 「……っ、締め付けるな。俺の昂りが冷めるまでは抜けんぞ」 「無理だろ、そんなの! あんたのがデカすぎんだよ!」 「……さっきまで、あれほど甘くよがっていたくせに。……その生意気な口、また塞いでやろうか」 「——んんッ!?」  言うが早いか強引に顎を掴まれ、無理やり上を向かされたまま固定される。  首筋を無防備に晒された体勢のまま逃げ場を奪われ、次の瞬間、重ねられたのは圧倒的な容積を持つジルヴァのマズルだった。  人間の口元など丸ごと覆い隠してしまうほど巨大な口から、ぬるりと熱い、分厚い舌が容赦なく割り入ってくる。  喉の奥まで塞ぎ込むような濃厚なキスと同時に、深く繋がったままの腰をぐちゅりと押し込まれ、俺の思考は一瞬で白く塗りつぶされた。 「――んっ、ふぁ……ッ!?」  口内をくまなく貪り尽くす熱い粘膜の感触と、溢れる唾液が途切れた吐息とともに口角から零れ落ちる。下半身をノットで根元まで貫かれたまま、上からは容赦ない口腔への侵略――抵抗する術を完全に奪われ、俺は再びジルヴァの与える狂おしい快楽に、翻弄されていくしかなかった。

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