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第10話 艶やかな四肢。
その日の晩からレイモンドは心を入れ替えたようにラファエルに尽くすようになった。
専属執事アランから託された手帳だけが全てではないけれど、それがあったからこそ彼を理解する切っ掛けが出来た。
この手帳を託してくれたアランにレイモンドは心から感謝を述べたいと思った。
しかし、その晩の湯浴みではレイモンドは大変な思いをした。
ラファエルの裸体は目の保養を通り越し、もはや猛毒だとレイモンドは思ったのだ。
バスタブに身を沈めるラファエルは、早朝にも増して艶やかだった。
普段は結われている絹糸のように滑らかな銀髪が、今はほどかれ、その艶やかさをいっそう引き立てていた。
一糸纏わぬラファエルの姿は、ガゼボで見た芸術品のような身体とは違い、理性を揺さぶられるほど艶めかしかった。
成る程。
こんな姿を見せられれば、触れてみたいと思う気持ちも痛いほど分かる。
そう、堅物で真面目過ぎるレイモンドの下半身すら反応し過ぎてしまい、痛みを伴っていた。
周りの執事たちも必死に理性と闘っている。
それに気付いたレイモンドは、アランが真面目な者ばかりを選んで仕えさせている理由を、ようやく理解した。
「レイモンド、髪の手入れに慣れているな。……とても心地が良い」
きっとラファエルは、ここで仕えている執事が反応していることに気付いている。
『レイモンドは私が嫌がることを理解している』ことも知っているだけあって、わざとらしく名を呼び、熱を帯びた視線を向けて『心地良い』と発したのだ。
「恐れ入ります」
『殿下は、なんて意地が悪いのだろう』、と、レイモンドは思った。
「お前が先程淹れた紅茶、気に入ったぞ。寝る前にもう一度淹れてくれ」
「かしこまりました」
『このままでは、とても平静に紅茶を淹れられそうにない』、と、レイモンドは心の中で深い溜息を吐いた。
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