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第13話 隙間。

 専属執事アランの引退宣言をどこからか聞いてきた執事やメイドの間では、若干のざわつきがあった。  この会話を立ち聞きしていた者がいるのだろう。  そういえば使用人の中には、ラファエルに好意を寄せている執事やメイドたちもいた。  妬みを買っても致し方ない、引退するアランはラファエルの専属執事の後継者に新人の堅物執事レイモンドを教育するということが問題になっているのだから、好意をよせている先輩執事達からしてみれば面白くないのだろう。  少々鈍感が入っているレイモンドは、最初自分が妬まれていることに気付きもしなかった。  いち早くそれに気付いたのはラファエルだった。  出迎えに並ぶ執事たちの間で、レイモンドの周囲だけに若干の隙間があることに気付いた。  人間関係に苦労したラファエルだからこそ気付けたことだろう。  しかし今は完璧を求める麗しの第三王子ではないのだが、その美しいと思えない執事達の妬みは自分が原因だということに気付いているラファエルは、隙間を注意することしかできなかった。 「そこの者との間が若干広いように感じるな。……乱れは美しくないぞ」 「申し訳ございません、殿下」  『この程度の注意ならば、レイモンドに被害はないだろう』、と、思ったのだが、その妬みはラファエルが想定していたよりも深かったようだ。  そのときを境に、休憩時間をレイモンドと過ごす同僚はいなくなった。  そこで自分がやっと同僚からよく思われていないことに気付いたレイモンドは、休憩室で一人で過ごすようになった。 「……」  『殿下のおもり、……代わってもらいたいくらいなのに』、と、内心思いながらレイモンドは一人出涸らしのハーブティーを啜った。  ほのかに香るのはレモングラスの香りだった。  レモングラスティーは、胃腸を整え、気分をリフレッシュさせる効能があると聞いていたレイモンドは、考えすぎてしまう性格のラファエルに淹れてもいいなと思った。

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