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第14話 荒療治。
「ものの見事に避けられているな、レイモンド」
とある日のティータイムのことだった、その時間動ける使用人たちを集めたラファエルは、優雅に紅茶を啜りながら、一点集中でレイモンドに話しかけた。
「……いえ、そのようなことは」
鈍感で堅物、真面目なレイモンドもさすがに返事に困り果ててしまった。
助け舟を出したのは専属執事アランだった。
「それは、殿下があまりにもレイモンドを可愛がるのが原因なのではないでしょうか?」
責任は主人のラファエルにある、と、アランは言いたいのだろう。
しかし、そのアラン自身も、レイモンドを特別視していることに変わりはなかった。
そうでなければ、新人の執事を自分の後継者にするなどとは言わないはずなのだ。
けれどラファエルはその事実を言葉にしなかった。
「仕方があるまい?私はレイモンドの一喜一憂が面白くて仕方がないのだからな」
レイモンドは堅物で真面目だ。
だからこそ、その仏頂面の顔面を少し歪ませながら固まる姿が、赤面するその表情が、面白いと感じていた。
今までラファエルの周りを囲む使用人に、このタイプの人物はいなかったからこそ、新鮮だったのだ。
「私はレイモンドをこれからも特別視することにする。私のやり方が気に入らないのならば、ここを辞めてもらおう」
最上級の微笑みを浮かべて、ラファエルは宣言した。
そんな主人を見て、『たかが使用人のために、何故殿下はそこまでしてくれるのだろう』、と、レイモンドは不思議に思った。
「まあ、この私に文句を言える使用人がいるのならば、この場で辞めてもらうがな……」
そう強気に微笑みながら足を組み替えるラファエルの瞳は、微かに揺れていた。
けれど、その揺らぎに気付いた使用人はごく一部だった。
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