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第16話 煽り。

 それからというもの、ラファエルがレイモンドを揶揄う頻度は、以前にも増していった。 「服を脱がせてくれ。レイモンドならば好きなだけ私の身体に触れてくれてもよいぞ?」 「必要最低限以上の接触は出来ません、殿下」  自分でしていた脱衣すら、レイモンドにやらせるようになっていた。  流れるように靭やかなボディーラインにレイモンドの喉仏が上下する。 「レイモンドは私の身体に触れてみたくはないのか?」  湯浴みの最中にラファエルは名指しでそう言ってくるが、理性を保つことと、その主人の身体を洗うことに専念しているレイモンドはかなりおざなりに答えた。 「殿下、おふざけはいけません」  ラファエルは全裸で、そして自分以外にも執事はいるのだ。  もし自分を煽ったことにより、別の執事がその美しい肌に触れ、ラファエルが嫌な思いをしたら。  『だからこそ触れる行為は最低限にしているというのに、全くこの方は……』、と、レイモンドは顔を赤らめながらもラファエルの身体を洗いつつ、内心で悪態をついていた。  その主従のやり取りは、はたから見ても面白く映っているのか、アランがたまに声を出して微笑んでいた。  『笑いごとではないのに』、そう思いながら、身体を洗い終えて布で身体の水気を拭っていると、ラファエルは足をすべらせ倒れそうになる。 「ラファエル殿下!!」  咄嗟にレイモンドはラファエルの腕を取り、庇うようにその華奢な身体を受け止める。  幸いレイモンドが下敷きになる形で受け止めたため、ラファエルに怪我はなかった。  しかしレイモンドの大きな身体に身を預けるように倒れ込んだラファエルは、微かに頬を赤らめた。 「殿下、お怪我はありませんか?」 「ない。……その、済まない」  他の執事は湯浴みの片付けをしていたが、アランがラファエルへ手を差し出す。  ラファエルはその手を取り、レイモンドの身体から離れた。 「殿下、さすがにおいたが過ぎます」  レイモンドから離れるその瞬間、ラファエルはどこか憂いを帯びた表情を浮かべていた。

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