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第17話 レモングラスティー。
「……」
『殿下は何故俺ばかり揶揄うのだろう。そんなに俺は面白いのか……?』、と、レイモンドはレモングラスのハーブティーを淹れながら考えた。
『面白みのない男爵家の次男』、実家ではそう言われていたし、レイモンド自身もそう思っていた。
「今日はとても爽やかな香りがする」
ベッドのサイドテーブルに置かれたティーカップを手に取り、香りを楽しむラファエルはいつにも増して色気を漂わせていた。
「今晩お淹れしたのは、レモングラスティーでございます。レモングラスは胃腸を整えると同時にストレス緩和の効能があります」
本来ならば朝にうってつけのハーブティーだが、今日は、自分のために行動してくれたラファエルへの礼も兼ねて、レモングラスティーを淹れた。
このレモングラスはレイモンド自身がラファエルのために摘んだものだった。
「殿下。私のために行動してくださり、どうもありがとうございます」
レイモンドは感謝していた。
ラファエルがレイモンドを特別視し、その行為が嫌ならば解雇すると宣言してくれたからこそ、同僚からの嫌がらせは減ったのだ。
「……レイモンドのためではない。自分が少しでも過ごしやすくなるよう考えた結果だ」
そう言いながらも、内心でラファエルはレイモンドからの感謝の言葉に嬉しさを感じていた。
自分の感じていた『怯え』は、完全になくなることはないけれど、レイモンドの役に立てたことが何よりも嬉しかったのだ。
「ですが、殿下に些か怒りも感じております」
『やはりレイモンドは湯浴みのときの煽りを怒っているのだ』、と、思ったラファエルだったから謝罪を述べた。
「そうだな、おまえの身体を下敷きにして悪かった。許せ、レイモンド」
ラファエルは儚げに微笑んだ。
そう微笑みを浮かべた瞳は熱を帯びていた。
だからレイモンドはその先の言葉が言えなかった。
『湯浴みのときに揶揄うのをやめてほしい。……殿下に触れたいと思ってしまう者は、困ります。私すら、殿下に触れたくなる』、と。
「私は寝る。レイモンド、また明日な」
ラファエルはそう言うと、ベッドに潜った。
さすがにベッドに横になった主人を起こす事は出来ないレイモンドは素直にティーカップをさげ、一礼をした。
「……おやすみなさいませ、殿下」
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