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03怪しいワイン
「ああ、陛下と王妃様の飲み物が……!!」
ガシャンとガラスを落としたのは陛下付きの侍女だった、彼女は僕たちが飲むはずだったワインとジュースを床に落として割ってしまっていた。その時リッシュが代わりにワインとジュースを持って前に進み出た。そしてダンスが終わった僕たちにそれを差し出した。
「偉大なる王と王妃に」
僕はリッシュのことが信用できなくて少しだけジュースを舐めた、アルジャンにも警告しようとしたが彼は既にワインを飲み干していた。僕たちのダンスが終わってからは貴族たちが踊り始めた。僕とアルジャンは王妃と王の席でそれを見ていた。アルジャンはしばらく何も変わりがなかったが、だんだんと息が荒くなり顔が赤く染まってきた。そうしてアルジャンは言った。
「シルバ、俺たちの部屋に戻ろう」
「あの、集まった貴族は放っておいてよいのですか?」
「あとは勝手に皆、楽しむだろう。行こう、シルバ」
「えっと、はい。分かりました」
僕はアルジャンに手を引かれて王妃の部屋に戻った、その際アルジャンの手が燃えるように熱いのが気になった。王妃の部屋につくと僕はアルジャンにベッドの上に押し倒された。
「アルジャン、どうしたのですか!?」
「敬語は止めろ、お前は俺の大事な王妃だ」
「だけど、んくっ!!」
「可愛いシルバ、もっとキスさせてくれ」
僕はアルジャンに押し倒されてキスをされた、さっきまでの頬へのキスじゃない。唇へのいや、口の中を舌でまさぐるような激しいキスだった。僕は必死で抵抗した、僕は男のβで仮の王妃だ。いつかここを出て行くのだ。だからアルジャンと恋人のように触れ合うつもりはなかった。
「止めて下さい!!」
「どうしてだ、シルバ。俺の何を嫌う」
「嫌いかどうか以前に貴方も僕も男です、こんな行為は無意味です」
「大丈夫だ、最後まではしない。お前はまだ十歳だからな」
「僕の話を聞いて下さい!!」
「嫌だ、愛しいお前から俺を拒否する言葉など聞かぬ」
そうしてアルジャンは何度も何度も僕にキスをした。僕は男にキスされてるのに不思議と嫌悪感がないのに驚いた。そうして驚いている間にアルジャンは僕の服を脱がし始めた。
「真っ白い肌だ、食べてしまいたくなる」
「僕を食べても美味しくないですよ!!」
「そうか? お前の唾液は甘くて美味いぞ」
「アルジャン、話を聞いてきっとあのワインに何か……!!」
「どうでもいい、今はシルバ。お前が欲しい」
「ひゃん、そんなとこ舐めちゃダメェ!!」
アルジャンは僕の体のあちこちをキスしたり舐めたりし始めた。上の服はすっかり脱がされて僕は抵抗したが、大人の力に子どもが敵うはずもない。首筋や乳首、それに肌を食むように舐めたり吸ったりされた。僕はそれがこそばやくて同時に何故か気持ち良かった。でもこのままじゃ駄目だと思って、思いっきりアルジャンを蹴飛ばしてベッドから逃げ出した。そして王妃の部屋を出た時、リッシュの声がした。
「やれやれ男妾は陛下の相手もできないの、そこをどいて!!」
「うわわ!?」
僕は上半身裸で王妃の部屋から出て廊下に転がった。薄い下着しか纏ってないリッシュが僕の代わりに王妃の部屋に入っていった。アルジャンをリッシュに盗られる。僕は咄嗟にそう思った。そしてその考えに驚いた、アルジャンは僕のものじゃない。盗られるなんてまるでアルジャンが僕のもののような言い方だ。リッシュが入っていった王妃の部屋は中でアルジャンが何か怒鳴っていた。僕は二人が交わるのを想像して、それが嫌でドアに寄りかかったまま耳を塞いだ。
「出て行け、このアパズレが!!」
「アルジャン、私は貴方の婚約者よ!!」
「煩い、シルバはどこだ。彼を差し出さないならお前を殺してやる!!」
「げほっ、首が折れるわ!! シルバは外よ!! 廊下にいるわ!!」
突然王妃の部屋のドアが開いてリッシュが中から転げ落ちてきた。僕はびっくりした何故ならリッシュには頬をぶたれたような怪我や、首を絞められたような跡があったからだ。
「シルバ!! ここにいたのか!?」
「アルジャン」
「さぁ、部屋に戻るんだ」
「それは……」
「シルバ!! お前は俺の王妃だ!!」
「きゃんっ!?」
僕はアルジャンに抱き上げられてまたベッドの上に放り出された。アルジャンは今度は部屋の鍵をかけてしまった。そうしてまた僕に手をのばしてきた。
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