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04零れる涙

「アルジャン、止めて!!」 「シルバ、愛しい人。俺が一目惚れした王妃」 「僕の話を聞いてよ!! アルジャン!!」 「聞いている、さっきは左の乳首で感じていたな」 「ひゃあ、やぁん!! そんなところ舐めちゃ駄目ぇ!!」 「シルバ、お前の体はどこもかしこも甘いな」  ベッドの上で散々アルジャンの好きにされた。乳首を舐められたり噛まれたり、キスはありこちに数え切れないほどされた。そうしてアルジャンが僕のズボンを脱がそうとした時、僕は思わずポロポロと涙を零した。怖かったのだ、僕を食べてしまいそうなアルジャンが怖かった。 「うぅ、ひっく!!」 「シルバ!! どうした!?」  そうしたらようやくアルジャンが僕の体に触るのを止めてくれた。僕は怖くて体を丸めてひっくひっくと泣き続けた。 「あ、アルジャンが怖い」 「俺がか!? あっ、いや、すまない。確かにこれは俺が悪かった」 「…………もうしない?」 「いや、いつかする。でも今じゃないな」 「いつかするの!?」 「当たり前だ、お前は俺の愛おしい王妃だ」  アルジャンはいつも眠る時と同じように抱きしめてくれた。それで僕はようやくアルジャンへの警戒を解いた。僕を抱きしめる腕は優しく決して僕を傷つけることはなかったからだ。よく見ればアルジャンの頬の紅潮や荒々しい息遣いもおさまっていた。だから僕は安心してアルジャンに抱き着いた。 「いつかっていつ?」 「シルバが十五歳になって、俺の正式な王妃になった時だな」 「それまでにアルジャンに好きな人ができる可能性もあるよね?」 「なっ!? 俺の愛情を疑っているのか? 生まれてから今まで好きになったのは、愛したのはシルバだけだ」 「でも僕は男でβだよ」 「跡継ぎのことなら心配しなくていい、傍系からいくらでも養子を貰えばいい」  僕は女の子が好きな普通の男のβなのにアルジャンはどうしても僕を王妃にするようだった。僕はこれから五年の間にアルジャンに好きな人ができますようにと心の中で思った。その後はアルジャンはいつもどおり優しくて一緒に抱き合って眠りについた。翌日からまた日常が始まった、僕は家庭教師から王妃に必要なことを学び、アルジャンは王として政務に励んでいた。そんな中僕は皇太后様からお茶会に招待された。断る理由もないので僕はそのお茶会に出かけていった。 「シルバ、貴方は聡明そうな子です。自分が王妃にふさわしくないのは分かりますね」 「はい、分かります」 「結構、アルジャンの気紛れが終わったら、貴方にそれ相応の財産を渡して自由にしてあげます」 「勿体ないお言葉です、ありがとうございます」 「自分の立場を心得ている者との会話は楽でいいわ」 「そう言われると光栄です」  僕と皇太后様とのお茶会は侍女を除けば二人きりで行われた。僕はそこでアルジャンにふさわしくないと注意されたが、実際に自分でもそう思っていたので素直に頷いた。そんな僕の態度が皇太后様は気に入ったらしい。アルジャンに捨てられた後のことまで手配してくれると約束してくれた。その後も二人でアルジャンの小さい頃の話などを聞きながらのんびりと過ごした。そこに政務が終わったのかアルジャンがやってきた。 「母上、シルバに余計な話はしていないでしょうね」 「お前の小さい頃の話をしていたのよ、お前が神童と呼ばれる賢い子だと言っていたわ」 「それならばいいですが、俺の王妃はシルバ一人だけです。何者も変わることはできません」 「ああ、はい。自由にしなさい、でも一度は懐に入れた者です。しっかりと守ってあげるのよ」 「言われなくてもそうします」 「分かっていればよろしい」  アルジャンが来たことでお茶会は終わりになった。僕はアルジャンと共に部屋に帰ることになったからだ。皇太后様に退出のご挨拶をして僕とアルジャンは部屋へと戻った。 「シルバ、誰かに害されたらすぐに俺に言え」 「はい、分かりました」 「嫌いな者も言え、すぐに国外追放か処刑してやる」 「は、はい。分かりました」  僕は嫌いな者としてリッシュ侯爵令嬢のことを考えていたが、さすがに国外追放や処刑は可哀そうかなっと思って口には出さなかった。 「それから貴族たちとの付き合いだが、一切しなくていいぞ」 「え? いいんですか?」 「いい、シルバは俺の大事な王妃だ。貴族どものおべっかや嫌味に付き合うことはない」 「正直な所助かります、貴族様と何を話せばいいのかも分かりません」 「シルバ、お前は仮だが王妃だ。貴族様なんて敬称をつける必要は無い」 「き、気を付けます」  そうしてアルジャンは僕の頬に息がかかるほど顔を近づけた。僕はまたキスされるのかと思って思わず体を固くした。そしてアルジャンはこう言った。 「いい加減、俺への敬語も止めてくれ。止めてくれないとキスより酷いことをしてしまいそうだ」

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