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07勝負
僕は訓練用の木剣を二本、近衛隊長から借りた。そしてシックに一本渡して、かかってくるように手招きした。シックは戸惑っているようだったが、近衛隊長から王妃に怪我を負わせるなと注意されてかかってきた。
「さすがシック、剣が速くなったね!!」
「光栄です!!」
シックの剣は昔に孤児院で剣士ごっこをした時より上手くなっていた。でも僕も伊達に剣術を一年も学んだわけじゃない。突撃してきたシックの剣をいなし、その背後から首筋に剣をあてた。
「そこまで!! 勝者、王妃さま」
近衛隊長が僕たちの勝負の見届け人をやった。結局三回戦って僕が二回勝って、シックが一回勝った。シックは僕の剣術に驚いていた、でも楽しそうに笑っていたからきっとこれを糧にもっと強くなるだろう。僕は勝負が終わると近衛隊の詰め所を去った。僕に新しい楽しみができた、これからもシックと時々戦おうと僕は思った。でもアルジャンはこう言った。
「駄目に決まっているだろう」
「む~、どうして?」
「王妃を危険にさらすわけにはいかない」
「家庭教師の先生とだって勝負する、どうしてシックと勝負しちゃだめなの?」
「それは家庭教師は教えるプロだ、お前の幼馴染はその技術がない」
「ちぇー、それじゃシックとの勝負はおあずけか」
「俺が相手をしてやってもいいぞ」
「ほんと!?」
僕はアルジャンに剣術の相手をしてもらい、三回戦って三回とも負けた。アルジャンは強かった、僕は俄然やる気が出た。しばらくは寝る前にアルジャンと剣の勝負をすることになりそうだ。その日もアルジャンと一緒に僕は眠りについた。そして剣術の稽古をしていたせいか、夜中にこそこそ自慰をしているアルジャンに気が付いてしまった。
「あ、アルジャン。そういうことは浴室でして」
「目の前に好きな、愛しい相手がいるのにか」
「じゃあ、僕は目を瞑っておく。早くすませて」
「それならシルバ。お前も手伝ってくれ」
「えええ!?」
「ちょっとお前の手を貸してくれるだけでいい」
僕は勃起しているアルジャンのものを握らされた。こすってくれと言われて思わずそのとおりにしたら大量に精液がでて僕の手を濡らした。アルジャンはそれを濡らしたタオルで丁寧に拭ってくれた。そうして僕はキスをされた、一回じゃアルジャンは満足しなくてキスをしながら何回かいった。僕は紳士だと思っていたアルジャンがしたことにショックを受けた。
「シルバのおかげで気持ち良かった、また手伝ってくれ」
「えっと、それは、ちょっと……」
「こうして精力を発散しておかないと、俺はシルバを抱いてしまうぞ」
「わ、分かったよ!! 手伝わせて貰う!!」
「抱かせてくれてもいいんだが」
「僕は十一歳で成人してないから駄目!!」
「成人した時を覚えておけよ。シルバ」
「う、うん」
どうせ成人した時には僕はもうここにはいないのだ。アルジャンに相応しい女性が王妃になるはずだった。だから僕は無責任に約束したのだが、後々その約束が僕を苦境に追い込むだなんて知らなかった。夜の件を除いては僕は呑気に家庭教師の教えを受け、時々シックに会いに行っていた。その時はこそこそ話して敬語は無しだった。
「シック、アルジャンが夜にこんなことをするんだ」
「うわ、お前それもう食われる一歩手前じゃねぇか?」
「実際に食べられるよりマシだし」
「でも気をつけろよ、王妃を辞めるつもりなら深入りはしないこった」
「うん、シック。そうするよ」
「しかしお前と勝負できないのは残念だな」
「アルジャンに怒られちゃったからね」
「いつか自由になったら、また勝負しようぜ」
シックとの時間は楽しくてあっと言う間にいつも過ぎた。侍女のリッシュがそのことについて、王妃様が他の男と密会しているなどと噂を流そうとした。侍女頭に叱ってもらったがリッシュはこりなかった。そうしてそんな噂が流れるとシックに会い辛くなった。
「僕の王宮でのたった一つの息抜きなのに」
僕は王宮で軽蔑の目で見られるようになった。アルジャンがそんな目で見た者は叱ってくれたが、そんな人間は後を絶たなかった。次第にシックと僕ができているという噂は有名になっていった。
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