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10無理やり
「城を逃げ出すなんてできない、兵があちこちにいるのに不可能だ」
「私の手引きで逃がしてやってもいいわよ」
「…………それは遠慮する」
「どうしてアルジャンが好きじゃないんでしょう?」
「アルジャンのことは好きだよ、好きの意味が違うけど」
それからリッシュはしつこく問いかけてきた。アルジャンのことを嫌いだと僕に言わせたいようだった。
「アルジャンのことが嫌いだから王妃になるのが嫌なんでしょう?」
「違う、僕が男でβだから王妃に相応しくないだけだ」
「そう言ってアルジャンのことが本当は嫌いなんでしょう?」
「だから嫌いじゃない、むしろ好きだ。でも王妃にはなれない」
「ねぇ、シルバ。本音を聞かせて、本当はアルジャンに触られるのも嫌なんでしょう」
「性的な触り方をされるのは時に嫌だ、でもアルジャンのことは好きだよ」
やけにしつこくリッシュがアルジャンを嫌いだと言わせようとするので僕は疑問を持った。リッシュは何か目的をもって僕がアルジャンを嫌いだと言わせようとしている。
「なんだかアルジャンを嫌いだと言わせようとしてるみたいだけど、僕はアルジャンのことは好きだよ」
「あ~あ、つまらない。これが貴方の王妃の本音ですわ。アルジャン」
するとドアを開けてアルジャンが王妃の部屋に入ってきた。やられた、リッシュは僕の本音をアルジャンに聞かせたくて一芝居うってたのだ。
「アルジャン、これで私を側室にしてくれますわね」
「ああ、してやろう」
「良かった、嬉しい。王妃様よりも貴方を楽しませますわ」
「名ばかりの側室にな、俺がお前の部屋を訪れることはない」
リッシュは約束が違う、酷いとアルジャンにくってかかった。でも軽く頬を叩かれて床に蹲った。アルジャンは真剣な顔で僕に言った。
「どうしても俺の王妃になりたくないのか、シルバ?」
「僕は男でβだよ!! いくらなんでも無理だよ!!」
「いや精密に検査したらお前はΩだった」
「え!?」
「お前のいた孤児院はいい加減だったから、王宮で検査をやり直したんだ。お前はΩだ、シルバ」
「えっと、僕がΩで、それじゃアルジャンの子どもを産めるの?」
僕は自分の性別をいきなり覆されて混乱した。ずっと自分が男でβだと思っていたからΩだと言われても受け入れ難かった。
「シルバ、お前は俺の子どもが産めるΩだ。どうか俺と結婚して欲しい」
「ええ!? ちょ、ちょっと待って理解が追いつかない」
「いいから俺と結婚して、俺の子どもを産んでくれ。シルバ」
「僕が子どもを、産めるの? えっ、でもアルジャンは友達で恋人じゃなくて」
「俺たちは恋人だ、でなきゃあんなことを夜にするか!! いいからもう俺と結婚しろ!! そうしないなら侍女どもを切り刻んでやる!!」
「する!! アルジャンと結婚するよ!!」
僕は半ば強制的にアルジャンと結婚することを約束させられた。僕は自分の性がΩであることをまず受け入れられなかった。成人していないからか、特別な体質なのかΩ特有の発情期も僕にはきていなかった。これで自分がΩであることを納得しろとは難しい。そんな混乱する僕をアルジャンは抱きしめた。
「お前が逃げ出さないように警備は倍に増やしてやろう」
「そんなことしなくても逃げないよ」
「でも逃げる手段が万が一あったら、お前は逃げてしまうだろう」
「だって突然Ωだって言われても受け入れられないよ」
「まぁ、半年はゆっくり待ってやろう。半年経ったらお前は俺の物だ。俺の王妃だ」
「僕が本当に王妃になるの?」
それからアルジャンの束縛はきつくなった。政務の時でさえ僕を連れて歩いた。おかげで僕は政治学の実地訓練ができた。家庭教師に学んでいたことを実地で勉強する機会を与えられた。アルジャンは一時も僕から離れなくなった、まるで目を離したら消えてしまうように僕を傍に置いていた。
「アルジャン、僕一人の時間も欲しいよ」
「絶対に逃げ出さないと約束したら、時間をやろう」
「約束、僕は絶対にここを逃げ出さない」
「それなら家庭教師と一緒に勉学に励むことを許可する」
こうしてあっという間に三カ月が過ぎた、夜のアルジャンは相変わらずで僕を抱く寸前まで可愛がった。昼間は家庭教師と勉強をしてこのままでいいのかと思いながら時は過ぎていった。そうして僕がマナーの家庭教師といた時のことだった。いいなり数名の顔を隠した剣士が現れて家庭教師を斬った。僕は反抗する暇もなく袋の中に入れられ連れ去られた。
「嫌だ、離せ!!」
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