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11自由
僕はすぐに袋の外のあちこちから殴られて痛みを覚えた。気を失わないようにしようとしたが無理だった。再び気がつくと僕は袋から出されていた、両手両足に鉄枷がはめられていて檻の中だった。
「ここはどこだ!? お前らは何者だ!?」
「あ~ん、貴族の坊ちゃんが目をさましたぜ」
「俺たちは奴隷商人さ」
「お前は俺達の商売道具だ」
そう言って奴隷商人達は笑った。僕は王宮から連れ出されて荷馬車で運ばれている途中だった。僕も奴隷として売られるのか、だが我が国では奴隷は禁止されているはずだ。
「この国では奴隷制度は廃止されたぞ!!」
「何事にも抜け道があんのさ。坊ちゃん」
「色狂いの男妾のわりに頭が良いじゃねぇか」
「こりゃ、貴族様に高く売れそうだ」
どうやら僕は闇のオークションで売買されるようだった。色狂いの男妾、それでは僕は男に売られるのだろうか。僕は嫌だと思った、アルジャン以外に触れられたくないとも思った。どうしてそう思うのかは分からなかった。ただアルジャン以外の男は駄目だと思った。途中で馬車が止まり夕食として固いパンが渡された、よくみたら僕以外にも檻が荷馬車には乗っていた。夕食を終えると荷馬車は止まったままで奴隷商人達は交代で眠りにつくようだった。
「なんとかこの檻から抜け出さないと……」
僕は手足についている鉄枷を外そうとしたがビクともしなかった。檻からでることもできなかった。僕は考えた、考え続けていたがいつの間にか眠ってしまっていた。翌朝になるとまた固いパンが配られて荷馬車はゴトゴトと進み始めた。一体どこにいくのだろうかと思った。何もできない僕には檻の中で震えているしかできなかった。その時だった、兵士が乗った馬が一頭やってきて奴隷商人達を止めた。
「止めろ!! 人を檻に入れているようだが、奴隷商人か!?」
「そうさ、お前らやっちまえ!!」
「役人なんて殺しちまえ!!」
「お前も檻に入れてやろうか!?」
兵士は油断せず緊急の信号弾を空に打ち上げた。するとすぐに他の兵士達も馬に乗ってやってきた。奴隷商人達はそれを見て反抗するのをやめ、各自で馬にのって逃げ出した。兵たちは残された檻の中の僕らに聞いた。
「シルバという銀髪に金色の瞳の者はいるか?」
「は、はい。僕です」
こうして僕は兵たちに助け出された。何でも僕がいなくなってすぐにアルジャンは国境を閉鎖し、城から四方に兵たち馬で走らせたのだという。僕は改めてアルジャンの僕への執着にびっくりした。
「王妃様、お乗りください」
とある兵と僕は一緒に馬に乗って王宮に帰ることになった。僕はこれがチャンスだと気が付いた、ここで騒ぎを起こせばアルジャンから逃げられるかもしれないと思った。そこでわざと馬に乗るのが下手なふりをして馬を怒らせた。馬がしっかりつかまっていた僕以外の兵を振り落とした。そしてそのまま馬は駆けだした。自由、久しぶりに得た自由だった。馬は僕にも予想しない方向に駆け出していった。
「ちょっと馬、落ち着いてよ!!」
僕は乗馬を習っていたので馬を落ち着かせようとした。だがなかなか落ち着いてくれず馬は目的も目標もなくただ駆け続けた。そうして僕は兵達を振り切った。ようやく馬が落ち着いてくれた時、僕はどこに行こうと思った。
「そうだ、東方に行こう。東方でどこかに身を隠そう」
そう決めた僕は馬に近くの街まで乗っていった。そしてそこで馬を売り、売ったお金で東方行きの馬車へと乗った。僕はローブと一般人の服を買い髪と瞳の色を隠した。数日分の固い保存食のパンも買い、僕は東方へ順調へ進んでいった。そして一番東の街に着いた。そこで僕は名前をジルと変え、仕事を探した。幸いにも住み込みの宿屋が雇ってくれた。ごく普通の平民のように僕はその街で暮らし始めた。国境はまだ閉鎖されているみたいで船でついた積み荷は自由に移動できるが、人間はこの国からでられなくなっていた。
「アルジャン、まだ僕を探しているんだ。早く諦めてくれないかな」
僕は平和に東方の街で働き一人部屋で眠った。ふとそんな時アルジャンの腕が恋しいと思うこともあった。でもそれはきのせいだと思い、僕は無理やり眠りについた。そうやって暮らしていたらある日見つかってしまった。アルジャンにじゃない。東方部隊長になっているシックに見つかってしまった。
「無事だったのかよ、シルバ」
「しぃー!! ここでは僕はジルだよ」
「そうか、無事だったのだな。良かったぜ」
「シックも立派になったね。さすが東方部隊長だ」
「…………ジル、戻る気はないのか」
「ないよ、今は自由が楽しいんだ」
そうやってシックと楽しく話しているとシックが苦しそうな顔をした。そして僕に頭を下げてこう言ってきた。
「シルバ、どうか王宮に戻ってくれ」
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