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朝から
「……この人、大っ嫌い!」
寮中に響きそうな声で言い放ったリズトに、ひかるは一瞬きょとんとした。
そして、すぐに笑った。
「はは。初対面でそこまで言われたの初めてかも」
「笑わないでください!」
「だって面白いんだもん」
「面白くない!」
リズトは乱暴に荷物を持ち上げると、自分に割り当てられたベッドへ向かった。
二人部屋とはいえ、部屋はかなり広い。
ベッドが二つ。机も二つ。奥には洗面台とシャワールーム。
今日からここが自分の家になる。
――そう思った途端、また胸の奥が苦しくなった。
今までなら。
「ただいま」
そう言えば、
「おかえり、リズト」
母さんが笑ってくれた。
もう、その声は聞けない。
「……」
リズトは黙って荷物を開けた。
その様子を、ひかるがベッドから眺めている。
「ねえ」
「……なんですか」
「お前、本当に理事長の息子なの?」
リズトの手が止まった。
「……そうらしいです」
「そうらしい?」
「俺だって最近知ったから」
「へえ」
ひかるは何かを考えるようにリズトを見つめた。
その視線が嫌で、リズトは顔を背ける。
「そんな見ないでください」
「なんで?」
「なんか……嫌だから」
「顔かわいいなと思って」
「……は?」
リズトの頬が一気に赤くなる。
ひかるはそれを見て、また笑った。
「冗談」
「…………最低」
「すぐ赤くなるんだ」
「もう話しかけないでください!」
リズトは布団を頭まで被った。
やっぱりこの人、嫌い。
絶対嫌い。
⸻
翌朝。
「……ん」
カーテンの隙間から差し込む光で、リズトは目を覚ました。
知らない天井。
一瞬、自分がどこにいるのか分からなかった。
「母さん……」
無意識に呟いてから、昨日の出来事を思い出す。
「あ……」
もういない。
胸がぎゅっと締めつけられた。
そのとき。
「朝から泣くの?」
「!?」
横を見ると、制服姿のひかるが立っていた。
「な、泣いてない!」
「その台詞、昨日も聞いた」
「見ないで!」
慌てて布団を被る。
すると、頭の上から声がした。
「あと十分で出るよ」
「……え?」
「遅刻するけど」
「えっ!?」
勢いよく起き上がった。
時計を見る。
「なんで起こしてくれなかったんですか!」
「起こしたよ」
「嘘!」
「三回」
「……覚えてない」
「『あと五分、母さん』って言ってた」
リズトの動きが止まった。
ひかるも、それ以上は何も言わなかった。
数秒の沈黙。
「……早く着替えたら?」
いつもの軽い声に戻っていた。
「……うん」
そのことが少しだけありがたかった。
「へ〜パンツポケモンなんだ」
「て、あ!なっ!」
僕としたことが
恥ずかしくて穴に埋もれたい…
「ほんと可愛いよね〜食っちゃいたい」
「僕を食べても美味しくないです」
ブレザーなんかきたことないから
ネクタイなんかできないよぉ
「もう1回1回泣きそうな顔になるのやめなww
ネクタイ貸してしてあげるから」
「ありがと」
この人は優しいのか優しくないのか僕には謎だぁ
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