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初めての登校

なんかここの学校は 全学年が合同クラスらしい? 詳しくは分からないが… 教室へ入ると、視線が一斉にリズトへ集まった。 「……あいつ?」 「理事長の息子でしょ」 「特別入学らしいよ」 「でも顔可愛くね」 「女みてぇ」 小さな声が聞こえる。 リズトは俯いた。 ――やっぱり。変な声も聞こえるが… 「おー、来た来た」 教壇に座っていたしゅんが手を上げた。 「リズト、自己紹介」 「……はい」 前に立つ。 たくさんの視線が怖い。 「リ、リズトです。十五歳です……」 「それだけ?」 しゅんが言う。 「えっ」 「趣味とか特技とか」 「特技……ないです」 「歌は?」 「普通です」 「ダンス」 「できません」 「アイドルになりたい?」 「別に……」 教室がざわついた。 しまった、と思った。 「じゃあなんでこの学校来たんだよ」 誰かが呟いた。 リズトは何も答えられない。 そのとき―― 「コネじゃね?」 別の生徒が笑った。 空気が変わった。 「理事長の息子なんだから、試験とか受けなくても入れるんでしょ?」 「……」 リズトの指先が震える。 「俺……」 言い返したい。 でも、何を言えばいいのか分からない。 「おい」 低い声が響いた。 教室の後ろ。 金髪気味の髪に鋭い目つき。 見るからに近寄りがたい少年が、机に頬杖をついていた。 キイチ。17歳。 「朝からうるせぇ」 「キイチには関係ないじゃん」 「ある。寝れねぇ」 「授業中だよ」 「知るか」 しゅんが呆れた顔をする。 「キイチ、一応俺いるんだけど」 「知ってる」 「先生悲しい」 「うるせぇ」 リズトは思った。 ――怖い人だ。 するとキイチと目が合った。 「……なに見てんだよ」 「ひっ」 リズトが肩を跳ねさせる。 「いや、その……」 目が潤む。 キイチの顔色が変わった。 「お、おい!なんで泣くんだよ!」 「泣いてないです……!」 「泣いてんじゃねぇか!」 「キイチが怖いからでしょ」 聞き覚えのない甘い声。 リズトが振り返る。 そこに立っていたのは、綺麗な顔をした少年だった。 柔らかな笑顔。 優しそう。 「大丈夫?」 少年がリズトの顔を覗き込む。 「……はい」 「俺、ルキ。二年」 ルキ、16歳。 「よろしくね、リズト」 「よ、よろしくお願いします」 「かわいい」 「え?」 ルキがにっこり笑う。 「泣きそうな顔」 「……」 「もっと泣かせたくなる」 「!?」 リズトは思わず後ろへ下がった。 この人絶対危険だ…… ルキは楽しそうに笑っている。 「冗談だよ」 「……絶対嘘だ」 「バレた?」 「ルキ、初日からいじめんなよ」 ひかるが横から口を挟む。 リズトは思わずひかるの後ろへ隠れた。 数秒後。 「あ」 自分が何をしたのか気づく。 ひかるが振り返った。 「俺のこと大嫌いなんじゃなかった?」 ニヤニヤしている。 「……今だけです!」 「ふーん」 「なんですか」 「別に」 ひかるが少し屈んで、リズトと目線を合わせる。 「ちゃんと隠れてていいよ」 「……っ」 また顔が熱くなった。 「顔赤いよ?」 「うるさい!」 ルキが二人を見て微笑む。 「へえ……」 その笑顔を見たリズトは、なぜか嫌な予感がした。 ⸻ 昼休み。 リズトは一人で廊下を歩いていた。 すると突然、腕を掴まれる。 「わっ!」 「こっち」 「え!?」 引っ張ったのはキイチだった。 連れてこられたのは人気のない階段。 「な、なんですか……」 怖い。 怒られる? 朝、怖いなんて言ったから? キイチはポケットに手を入れる。 リズトは身構えた。 「……ほら」 差し出されたのは、小さなイチゴミルクだった。 「……?」 「やる」 「なんで?」 「朝……泣かせたから」 キイチはリズトと目を合わせない。 「俺、別に泣いて……」 「いいから!」 「は、はい!」 受け取る。 「……ありがとうございます」 リズトが小さく笑った。 キイチが一瞬固まる。 「……なに」 「いや」 「顔、赤くないですか?」 「赤くねぇ!」 「でも――」 「うるせぇ!」 逃げるように去っていった。 「……変な人」 でも。 怖い人ではないのかもしれない。 リズトはイチゴミルクを胸に抱えた。 お母さん 僕の中のヤンキーの定義が覆りました ヤンキーかっこいいです

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