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やばいじゃん

その日の放課後。 校内放送が流れた。 『一年生から三年生まで、全生徒は第一ホールへ集合してください』 「なんだろ……」 リズトが呟く。 隣にいたひかるの表情が少し変わった。 「たぶん月例評価」 「げつれい……?」 「聞いてない?」 「何も」 「歌とダンスの実技試験。それと性的検査の順位も全部出る」 「え」 「最下位が続けば退学」 「……え?」 リズトの顔から血の気が引く。 「俺、ダンスなんてやったことない……しかもボク性的検査無理だよぉ」 ひかるが笑う。 「頑張って」 「無理!」 「理事長の息子なら特別扱いしてもらえるんじゃない?」 その言葉に、リズトの表情が変わった。 「……それは嫌」 ひかるの笑顔が消える。 リズトはぎゅっと拳を握った。 「父さんの力で残ったって言われるくらいなら……」 怖い。 逃げたい。 それでも。 「ちゃんと自分でやる」 ひかるはしばらくリズトを見つめていた。 そして、ふっと笑う。 今度はからかうような笑い方ではなかった。 「じゃあ、俺が教えてあげよっか」 「……ひかる先輩が?」 「俺、一応この学校のトップだから」 「え?」 初耳だった。 「顔だけの人じゃなかったんですか?」 「……お前」 ひかるの笑顔が引きつる。 リズトは少しだけ笑った。 この学校に来てから初めて、自然に出た笑顔だった。 その笑顔を見たひかるが、一瞬だけ黙る。 「……なに?」 「いや」 ひかるはリズトの頭を軽くぽん、と叩いた。 「やっぱ、お前その顔の方がいいよ」 「……?」 「泣いてるより」 リズトの胸が、ほんの少しだけ騒がしくなった。 まだここを好きにはなれない。 父親のことだって許していない。 アイドルになりたいとも思っていない。 それでも――。 この学校で過ごす最初の一日が、静かに終わろうとしていた。 そして翌日。 リズトにとって初めてのアイドル評価試験が始まる。

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