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第5話
そして、7日後。
明紅は一人で後宮の廟へとやってきていた。
本来ならば朱亮と来るはずだったのだが、華桜国での一件が長引いてしまったので、華桜国は朱亮に任せてこっちに来たのだ。
しばらく姿を消して待っていると、廟の中へと一人の青年が訪れた。
その青年は身なりもよく、顔立ちもまた凛としている。背は明紅ほど高くはないが、背は高い方だろう。
「誰かきた?」
そう呟きながら、建物の中を見て回る。
「綺麗だな……まさか……本当に……」
なにが本当に、なのかと思いながら青年を観察した。
青年の周りをゆっくり歩く。その青年は不思議な髪色をしていた。一部髪の毛が白くなっているのだ。まだ若いだろうに白髪というわけではなさそうだ。右の側頭部の一束まとめて白くなっているので、ストレスがなにかで色が落ちたのか、色が染まらず生えてきたか──。
そんなことを思って真後ろに来た途端、青年が勢いよく後ろを振り向いた。その瞬間に目と目がぶつかり、心臓がどくん、と音を立てた。
「誰かいるんですか」
察しがいい。
明紅はふっ、と笑った。
そして姿を現す。
「あなたは」
「天狐さまの代理できた」
「代理?」
「まさか神本人に会えるとでも?」
「いや……そうですよね。俺の祈祷程度じゃ……」
卑屈なことを言い出したので、明紅はため息をつく。
「分かってないな。神本人が祈祷に人を割くということは重大な祈祷だと判断したんだよ」
「じゃあ、なんで天狐さま本人は出てこないのですか?」
「私じゃ不満なのか」
天狐さま、天狐さまと言う彼に、思わず悪態をついた。
これほどまで言われると寂しくなるというものだ。
「あ、いや……そういうわけじゃなくて」
「じゃあどういうわけだ」
唇を尖らせた明紅は、彼のそばをぐるぐると回って顔をうかがう。
「私じゃ頼りなさそうに見えるのか? 私は子供っぽいか?」
「そういうわけじゃないです」
「その言葉は聞き飽きた。なにか他の言葉はないのか」
「いや……あなた面倒くさいですね」
はっきりと言われた言葉に、明紅は目を丸くして立ち止まった。
「なんだって?」
「めんどくさい」
再度一字一句はっきりと言われ、明紅はさらに唇を尖らせた。
「じゃあ帰ってもいいのか」
「……他の人を寄こしてくれるならぜひ引き取ってもらいたいですね」
「私の部下は今仕事してるんだ」
そう言いながら、明紅は扉の前で腰を下ろした。
「俺の帰る道塞いでます?」
「塞いでる」と言いながら、あぐらをかいて腕を組む。
「俺は面倒くさくはないぞ」
「……そういうのが面倒なんだけどな……」と小声でつぶやくのが聞こえる。
「聞こえてるぞ」と言えば青年は下を向いて咳込む。
「仕方ないだろう? 私の部下は迷路で迷子になってるんだから」
「遊んでるんですか?」
「遊んでなどない。井戸に幽霊が出るから退治してくれという祈祷があった」
明紅はその祈祷の話をはじめた──。
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