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第25話
胡明一族の棚は、数冊程度しか入っていない。
おそらくまだ王朝関係者が生きているからというのも大きいだろう。
これから時代が進んでいけば、この棚もたくさんの本で埋もれるのだ。
明紅は、一番目に置かれている本を手に取った。
その本の主人公である主は、胡明宇の実父である、胡明天だった。
この人物の書物を借りて席に座り、読み進めていく。
ほとんどこの人物は裴王朝政権下で高官として平凡に生活をしていたらしい。
特に大きな出来事があるとしたら、胡明王朝初代皇帝である胡明宇の実父であることだろうか。
明紅は本を閉じて本棚にそれを入れた。
胡明天から遡るには家系図が必要だ。
明紅は同じ部屋の中にある別の部屋に入った。
そこは月沈国に関係のある人物の全員分の家系図が保管されている場所である。
その場所は先ほどの部屋とは大きく変わる。
部屋の中には天井らしい天井が存在せず、背丈よりもずっと大きい本棚が無限に広がっている。
オレンジ色が淡く広がるその場所には、羽を生やし飛び回る小さな人型の存在が飛び回り、仕事をしていた。
明紅が部屋に入れば、小さなその存在が声をかけてくれる。
「どなたの家系図をお探しですか?」
「胡明天の一族の家系図を探しています」
「お待ちください」
頭を下げてその小さな存在が羽を羽ばたかせてどこかへ消える。
あたりを見渡して過ごしていると、声をかけてくれたその人物と、もう一人の同じ見た目の存在が巻物を持って戻ってきた。
「こちらです」
「ありがとう」
そう言って巻物を受け取り、その部屋の中にある閲覧室で巻物を広げる。
その巻物の最後には胡明然の名前もある。
明然の父親は胡明宇で間違いないようだ。
そして、明然の母親は「都麗」と書かれている。没年は書かれていない。
明紅は紙を取り出し、備え付けられていた羽ペンで「都麗」と書きなぐった。
明然の腹違いの兄弟たちは全員正妻もしくは正式に側室となった妻から生まれていた。
この正妻は皇后となったのだろうか。
それとも、政治的な意味合いで皇后は別に娶る可能性もある。
そうなれば、この他の兄弟たちも明然と対等になる可能性もない。
この兄弟も調べてみたいが、それよりも胡明一族が我々の一族と関係しているのか調べる必要性が大きい。
明紅は少しずつ巻物を広げて家系図を遡った。
胡明一族はかなり歴史のある家らしい。
巻物を伸ばしても胡明一族を興した人物が出てこない。
目が疲れてきたころになると、だいぶ巻物を見ることにも飽きてくる。
やはり関係がないのかもしれないと思った矢先だった。
最後まで巻物を開き切ると、胡が付かない人物の名前を見つけた。
「明黄」
その名前は没年が書かれていない。
──即ち、生きているということだ。
これだけ遠い時代まで遡ったというのに生きているということは、妖である。
そして、妖にいる「明」という姓と、色の名前の「黄」の名を合わせた名前は、ひとつの一族のみだ。
明紅と血縁関係があり、曾祖父である清陽の子孫だった。
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