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第19話
「あの時、俺、抱いてもいいかって聞かれた覚えないんだよね」
大学時代から住んでいる狭いワンルームの、それでも背の高い僕を気遣って親が買ってくれたセミダブルのベッドで、稔さんが僕の胸に頭を乗せたまま、僕を見上げて言った。彼がいつも最初は僕に襲われたと言うのはそのせいだ。僕も、稔さんが男に押し倒されているのを見て頭に血が上り、抱きしめて、キスして、セックスまで行ってしまったあの時、彼に良いかと聞いた覚えがない。
教授の言葉が蘇る。
「稔はイヤだと言えないタイプだ。ちょっと強く押せばすぐ落ちる」
あの日、強引に性急にことを進めた僕に、稔さんは抵抗してなかったか。強く押し切った僕になすすべなく諦めて、僕に抱かれたのか。あの時、僕が部屋に入らなかったら、稔さんを組み伏せていたあの男に無理矢理抱かれて、あいつとヨリが戻っていたかもしれないと言うことか。僕はモヤモヤした気持ちを稔さんに打ち明けるわけにもいかず、胸に異物が詰まったような気分で黙り込んだ。
稔さんは僕をいじめすぎたと思ったのか、毛のほとんど生えていないすんなりした足を僕の足に絡め、身体をぴったりと密着させてきた。僕の胸に稔さんの胸の粒が当たり、ぐったりしていた僕のモノがまた熱を帯びてきた。僕は稔さんにキスをしながら彼を仰向けにし、再び欲望を彼の中に吐き出すために、足を持ち上げた。
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