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第26話

「俺の方から連絡しないのは、俺がそろそろしようと思うより前に、せっかちな君が先に連絡してくるからだよ。」 「僕を全然見てくれないし、待ち合わせしても探してくれない」 「恥ずかしいからだよ!君を見ればいつも目が合うし、大体君、待ち合わせに遅れるなんて滅多にないじゃないか!たまたまその時、本に熱中していただけだよ。…衛こそ俺のこと、誰にでも抱かれるビッチだと思ってたこと、どう言い訳するんだ」 感動して二の句が告げないでいた僕に、稔さんはトゲトゲしく聞いてきた。 「あのクソ教授。テキトーなことばっかり言いやがって」 僕は坂下教授のことがますます嫌いになったが、そんなことでは誤魔化されない、と稔さんの目が言っていた。 「ごめんなさい!押しに弱いのかも、とは思ってたけど、それで稔さんのことを悪く思ったりしたわけじゃなくて、僕がしっかり守らなきゃ、と思ってました。でも、他人の言うことを真に受ける前に、あなたに僕の気持ちを伝えるべきだったと反省してます」 シュンとしおれた僕を見て、稔さんが呆れたようにため息をついた。それを見て、僕はますます落ち込み、うなだれた。 部屋にはしばらくエアコンが温風を吹き出して入る音だけがしていたが、稔さんがついと手を伸ばし、僕の顎を持ち上げた。そして、そっと僕の唇に自分の唇を触れさせると言った。 「君が好き。初めて会った時から好きだった。俺は君次第で何にでもなってあげる。淫乱な娼婦でも、貞淑な姫でも。だから、思ってる事はちゃんと俺に聞いて。俺は忖度は苦手なんだから」 僕はかぁっと顔が赤くなるのを感じた。 「みっ、稔さん、あいつをダウンさせるなんて、ホントにかっこいいです!僕も好きです!大好きです‼︎」 そう言って稔さんを押し倒し、身体中にキスをしていると、彼が小さな声で呟いた。 「あれ?そう言えば、衛が好きって言ったのも初めてじゃないの?」

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