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第2話
「今後なのだが、君は保護対象であるため暫く城に留まってもらう事になる」
無言でじっと見つめられた後にそっと手を握られた。
私より一回り小さい手だ。そして武器を持ったことがない貴族の女性のように皮膚が柔らかい。
「なんだ?」
「……あー……なるほどねぇ」
1人で私の手を見ながら頷いている。何をしているのだ。
「僕はいつまで保護されたらいいの?」
手を放して顔をあげる。その表情は変わりなくすんなりと保護されることを甘受しているようだった。
このような環境に慣れているのか?
日本とやらではどのような生活を送っていたのだろうか。
「期限は未定だ。父の采配によるだろう」
まだ王族であることを明確に伝えていないため王ではなく父、と伝えることで配慮したのだが……。
「王様もイケメン?」
「……ん?」
ねぇ、ねぇ、と返事を急かされ、恐らくと伝えてたらいつ会えるのかなぁと嬉しそうだった。
イケメン? だからそれはなんだ。
「シャルルのお兄さんたちもイケメン?」
「……んん? まあ、恐らく」
「そっかあ。この世界顔面偏差値高いんだねぇ」
適当に答えると柔らかい声が少しだけ先ほどよりも高くなっていて感情が高ぶっているのが手に取るようだ。
顔面……偏差値? 顔の良し悪しの事だろうか。
それよりも、だ。
「何故、兄がいると?」
「見たから?」
見る?
「こうやるとね」
そういって彼は再び手を取る。
「見えるんだよ。ステータス」
目を合わせてにこりと笑った。
「すー……なんだって?」
「えーとね。能力、かなー? その人の持ってる体力とか、スキルとか色々見えるんだ」
「なん、だと……? それは人だけか? 物はどうだ?」
「あーわかるよ。お腹すきすぎて木の実調べて食べてみたら、そこそこ美味しかったんだよね。あれ、名前なんだったっけ」
異界から来たものは稀有な能力を持っていると言うが、彼もやはりそうだったのか。
彼の見えているものが本当なら過去に読んだ文献通りであれば、この世のあらゆる全ての生きとし生けるもの、人、物、植物、魔物までを鑑定できるため貴重な人材であると同時に裏を返せばすべてを見通せる危険人物とも書かれていた。
取られた手を何かを確認するかのように何度も握られているが、そのことよりも、能力が公になってしまう事が怖いな。
余りにも大きな力だ。このことを一人で抱えるには、少々荷が重い。
王に報告を……いや、そうすれば彼を閉じ込めてしまうだろう。それもやぶさかではないが……。
手を握ったままのシズを見てみると、どうしたの? と、こてんと首を傾げてきた。
その姿をじっと見てしまう。 ああ、彼は静かにしているだろうか?
兎に角、まずは。
「シズ、能力が見える事を口外するな」
「んー?」
指の一本一本を丁寧に、彼の指先でなぞられている。確かめるようなその動きは官能的にも見える。
「聞いているのか?」
「シャルル、かっこいい手してるねぇ」
聞いていないな。
「スキルの事は口外するんじゃない。いいな?」
「言ったらどうなるの?」
何故か、何かを期待してるかのような眼差しを向けてくるが、掴まれたままの手を外して、彼の肩に手を置く。
「……牢獄行だ」
少し脅しておこう。
いや、最終的にそうなってしまう可能性を秘めているからあながち間違いでもないんだが。
「ううーん。それは困るから言わないでいようかな」
脅しなど効いていないような口ぶりだった。笑っている、牢獄が怖くないのだろうか。
シズとの会話後、兄上の執務室へ訪問した。
室内へ入ると机の上には山のように書類と巻物が積まれていた。傍には髪を短く刈り整えている護衛騎士が控えている。
この量は、二番目の兄がまた放棄しているのか、はたまた何か問題でもあるのだろうか。
「シャルルか、どうした」
「先日保護した青年のことでお話があります」
そう伝えると即座に人払いを命じ、控えていた護衛騎士が一礼をして出ていく。
扉が閉まるのを確認して口を開いた。
「どうも、彼は(見える)ようで」
シズが植物の名前や性質がわかる。人や、動物なども同じくだと伝えた。
「私も伝える前に、父が王であることや、兄が二人いることを見られました」
「……なるほど、そうか」
眉を顰めている。
兄上は魔法の才に秀でている。そのせいか、正しく力を扱うために様々な魔法やスキルに関して研究を重ねていた。
今では国中の貴族や研究者からその手の相談が届く。次期王に対して気軽な事だ。兄上も楽しんでいるみたいだが。
「鑑定、か」
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