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第6話※
「ね、大人しくしてたでしょ、僕」
背中に回した手が優しく肩甲骨から腰まで撫でていきながら、上目遣いで目を合わせてきた。
これは、誘っているな。
どうしたものか。
性格はともかく、見た目は問題はないどころか好みだ。
酒のせいでほんのり頬が赤く染まり艶っぽい上に、背中を撫でる手が欲を駆り立てる。
誘われるままに抱いて妾として閉じ込めてしまうのがいいだろうか?
もしそれができれば国として安心できるし、鑑定スキルを我が国の力として確固たるものとできる。
しかし、彼の貞操観念のなさを鑑みるに難しいかもしれない。
「シャルル? ねぇ」
夜の店の子のような甘い声で囁いては、猫がじゃれるように鼻で首筋に触れてくる。ふわりと石鹼の香りが鼻腔を擽った。
誘い方が手慣れている。お互い遊びなれているんだ。後腐れはないだろう。
だが、積極的な相手を本気で深みに嵌らすのは中途半端にしたり、敢えて引く事が効果的だ。そうして心ごと国の物に出来れば――
「これからも大人しくしているか?」
鎖骨に口づけを落としていく彼の髪を指で掬って遊ぶ。サラサラと流れる髪が気持ちよい。
「ふふ、どうかな~?」
ぺろり、と生暖かい舌で喉仏を舐めてくる。
毒のない据え膳は喰うが私の方針だ。お望み通り味見させてもらうぞ。
首元でじゃれるシズの顎を指で押し上げ、体温が乘って赤く色付いた唇を食む。
すぐさま口が開いて舌が伸びてきてちゅくりと絡まりあった。
先ほどまで吞んでいた蒸留酒の味がする。
唇でじゃれあいながら立ち上がり、お互いの体を手で愛撫しつつ寝室へ移動し、彼を少々乱暴に寝台に押し倒した。
「暫し、いい子にしていろ」
額にひとつ口づけを落とすと、寝台から去り数歩傍にある化粧台から防音の壁を張る術が込められたオレンジ色で少々青色が散らばった【核】を取り出すと詠唱し発動させ、同じ場所から潤滑油代わりの香油の入った小瓶を持ち出して戻る。
彼は目が合うなり腕を伸ばして私を引き寄せた。
油断していたところをそのまま体重をかけられ、あっという間に立場が逆転し、先ほどとは反対に押し倒されていた。
「どっちが好き?」
私の腰を足で挟むように座って寝間着を脱ぎながら上から問いかけてくる。
「シズはどうなんだ」
「僕はどっちでも。あーでもこっち来てから後ろは使ってないよ」
人の服にも手をかけ脱がせていくのをなされるがままにさせておく。
前は使ったのか。いや……構わないが……。
「ならば、久しぶりに使うか?」
腕を伸ばして女とは違う少し固めの双丘を左右にぐいっと広げる。
「んー? シャルルが好きな方でいいよ」
体を私に近づけて下肢の衣服をずらすと少し立ち上がり始めた雄同士を重ね合わせてゆるゆると腰を動かし始める。
「わかった」
「ん」
揺れる腰をそのままに小瓶から香油で指を濡らすと双丘の奥の蕾を周りをなぞりながら塗り付けていく。
「ぁ、知ってる。これいい香りだよね。名前は?」
「ジャスミンだ」
「へぇ、僕の世界と同じだ……んっ」
つぷりと人差し指を入れると、元より男性にしては少し高めの声が更に高くなった。
久しぶりということもあってか、入り口はきつく暫く慣らさないと辛そうだ。
内に指の感覚を慣れさせるように上下左右に動かして少しずつ広げていく。
「あっ、ん」
少し広がったところで指を引き抜き香油を足して人差し指と中指を添えて、再度蕾へ入れる。
「ぁ……指、増えたぁ」
えへへ、と嬉しそうに笑って腰を動かし続ける。もう私たちの雄は完全にそそり立ったままで重なっている。
その動きに合わせるように指を動かし更に入り口を緩めるように少し指を開いて抜き差しをする。
「ん、あ……シャルルの、指、好き……かも」
目を細めて緩くまた笑うと、唇を寄せてくる。
それに答えて舌を出して迎えた。
口づけと蕾と雄の刺激でどちらのかわからない先走りの体液で下肢がぬるぬるしている。
「ね……シャルルのこれ食べていい?」
「好きにしろ」
「やった」
蕾から指を抜くと同時に体をずらし、私の雄へ顔を近づける。
「わ、理想かも、これ」
頬で雄を撫でながら感想を言った後にぱくりと躊躇なく加え込んだ。
「ん、……いいな君の口は」
「んふ、れしょ?」
咥えたままで話すものだからはっきり話せていないが、その代わり舌の動きが雄を刺激する。
前後に頭を振って生暖かく滑った咥内で雄を擦り上げていく。まるで先ほどまで弄っていた蕾の中を連想させるような動きだ。
「ぅ……ふっ」
時折袋をもみながら、上目づかいで目を合わせてくる。
され慣れてはいるが、好みの顔だといつもよりいい眺めだ。
いつかこの顔を汚してやりたい。
そんな黒い欲望が奥底から湧いてその場面を想像するだけでぞくぞくする。
「…っ、はぁ、もういいぞ」
体を押してそのまま後ろへ押し倒して逆転させるとひっくり返して背後から膝立ちにさせる。
「もうちょっとやりたかったのに」
「残念だったな。太ももを合わせろ」
「えー?」
こう? と太ももを密着させたのを確認すると、その間に雄を差し挿れて彼の雄と合わせた。
「あ、やだ。素股っ?」
シズの事は無視をして精を吐き出すために合わさった太ももと彼の熱を使って強く擦り上げて高めていく。
彼の体は程よく鍛えられているのか、無駄な贅肉が少ない。だが、多少あるため少しだけ柔らかさもあり触っていて気持ち良い。
そして背中から見ると腰の括れがとても色っぽい。
女性とは違う体ではあるが、そそる体だ。
声もまた良い。素直に感じている事を教えてくれる。
だが、それだけだ。まだ信用は出来ない。
例え体を重ねたからといって信用出来るか懐に入れるかどうかは別だ。
一夜の相手と同じように今を楽しむことに徹しよう。
あまりに挿れてという言葉を聞いて再び指を蕾に挿したら、それも違うと言われるが気持ちよさそうにしているので指を深く挿し入れて内で指を折り曲げながら動かす腰と同じように抜き差しを繰り返して行く。
「うー……あ、あっあ、ねっ……も、イッてい、い……?」
「ああっ、私も」
シズが雄を二人のまとめて握り強く、早く、腰の動きと合わせて擦りあげ最後へと向かう。
ぬちぬちと湿った音がする。
「んーーっ!」
「……くっ!」
先に彼が白濁した液を吐き出し、蕾に挿れたままの指をぎゅうっと締め付けられた。
遅れて私も体液を吐き出し、彼の手とシーツを汚す。
そして体から力が抜けたようにくたりとシーツの上に転がり込んだ彼の頬に口付けた。
「相性いいかもね、僕たち」
「どうかな」
実際は彼の言った通り良いのかもしれない。口淫だけでも十分に気持ちが良いし気分が高じる体だ。
しかし、ここで認めるよりも曖昧にして彼の方から近寄るようにしなければ。
「じゃあ、僕は戻るね」
余韻もそこそこに脱ぎ捨てていた寝間着を着て、用は済んだとばかりに去ろうとする。
「ここで過ごしても良いが?」
「やだよ。変に勘繰られたくないし」
途中で足を止めて返事をしながら【核】を見つめている。鑑定してるのだろうか。視線が【核】から外れると、じゃあね、と何事もなかったように扉の向こうに消えていった。
まるで、今まで見てきた彼の一時の相手と同じように興味がないような素振にも見えた。
誘ってきたのは彼だと言うのに淡白すぎないか?
私の一夜の相手でも、もう少し余韻というものがあるんだが……。
気のせいか、振り回されるのは私の方なのかもしれない予感がした。
彼の本心が全く見えないのであれば外堀を埋めて逃げられない状況を作るしかないかもしれないな。
【核】の発動を止めると、化粧台の引き出しの中へ水位の減った香油の入った小瓶と共に仕舞う。
そして気持ちがすっきりしない気分のまま就寝した。
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