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第13話
「んー……僕も呪いみたいー……」
【核】の散らばっている部屋を抜けて寝室へ向かうと、 寝台に深く身を静めたシズの柔らかな声が弱弱しくなり消えそうなほどで体に掛かっている負担を思い知らされる。
「兄上と同じか!?」
「……ちがう……いしの呪い……って書いてある」
駆けつけてきた医師を見るが、わからないといったように首を振っている。
兄上だけでなくシズまで命を狙うのは一体誰だと言うのだ!
「解除方法は?」
「かいてなーい……」
鑑定してもわからないだと!?
「兄上の時は分かったではないか」
「でも……ん、ぐ……ないしー」
話すのも辛くなってきたのか、言葉に詰まりだしている。
「シャルル!! シズオミは!?」
そこへアメリアが王族の妃らしからぬ勢いで大きな音を立ててやってきた。
シズが言っていた呪いの事を話すと眉を顰めて考え出した。
「……おじいさまに頼りましょう」
「アーバン爺に?」
アメリアの祖父は宮廷魔術師であったが呪いに精通していて、現役時代には同僚たちが呪いをかけられて遊ばれていたらしい。さすがに娘や王族の我々にはかけなかったが。
今は引退をしてレギアの街には住んでないと聞いている。
アメリアに居場所を聞くとフィレ湖の近くの村に住んでるという。
「誰か早馬を!」
控えていた騎士に伝令を伝え、あとはアーバン爺が来るのを待つしかない。
「アメリア、兄上の時はどうやって生命を繋いでいた?」
「回復魔法と薬草で体力を保つようにしましたわ」
「では、シズも同じように」
少し離れてみていた医師に伝え、薬草の準備を促す。
シズは寝そうになっているのか、何度も瞬きを繰り返している。
「少し眠るといい」
「ねぇ……治ったら……お願い聞いてくれる?」
「何か欲しいものがあるのか?」
「……ちゃんと、最後までー……けほっ……抱いてくれる?」
「……善処しよう」
アメリアたちがいる時に何を言い出すんだ。
ちらりと横を見ると張り付いたような笑顔が見える。
「あーあ……本気で恋してみたかったな……まぁでも~……イケメン看取ら……るのも悪くない、かもって思っちゃってる……」
「馬鹿なことを言うな。シズは助かる」
「ふふ……だといいなぁ……」
消えそうな声のあとに眠りに落ちた。
静かな寝息を立てているがその顔色は蒼白だ。
いしの毒とは一体何なんだ。
オーギュスト兄上も未だ意識が戻らず、さらにはシズまで毒に倒れた。
一体誰が、なんの目的で二人を死へ追いやろうとしているんだ。
「それにしても……こんな時にジャンはどこへ行ったのかしら」
聞けば、オーギュスト兄上の様子を伺いに来た次の日から、調べ物があると言って出かけたままだという。
呪いの事を調べに行ったのかと思ったが、報告も何もないのでわからないそうだ。
最悪な場合、ジャン兄上も命を狙われている可能性もあるという事だ。
この件に関して陛下のお耳にいれるとすぐさま捜索兵をだしていただけた。
お忙しい御身ではあるが実の息子がそのような事態に陥っていることを悲しんでいて今だ体調の戻らぬ兄上に一日に一度は会いに行っていてその背中は辛そうだ。
アーバン爺が城に着くまでは日数がかかる。
それまでにできる事はアメリアがやったように体力を落とさないようにすることしかないだろう。
私は回復魔法が使えない。治癒士を呼び定期的に魔法をかけるように指示をした。
薬草はアメリアが兄上にも飲ませていた同じものを使うと良いので自分が用意すると申し出てくれた。
私は、何もできない。
こんな時に何をしてあげればいいのだろうか。
兄上の時のように目的があればそれに準じる事ができるが、今は何をしたらいいのか。
アーバン爺の到着まで一体何が出来るのか――
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