17 / 23
第17話
「呪いの【核】ですか? たまに依頼がありますね……いしの呪いの【核】ですか……?」
ギルドの受付に聞けば、依頼として受ける事があるようだ。そのような依頼があったかを調べてくれている。
王族とは言ってないため、そのような依頼を過去受けたことがあって成功したのかどうかの確認だ。
待っている間に冒険者と思しき人物たちの視線を感じている。場違いだとでも言いたげだ。
「お待たせしました。ありましたよ」
「依頼主は?」
「……それはお伝え出来ない規則なので」
怪しい者を見るような目つきだ。
しっかりした働きぶり。しかしそれではこちらが困る。ならば身分を明かすしかないか……?
一度受付から離れて、どうするべきか考えていた時だった。
「お兄さん、情報が欲しい?」
そこにはゆるく波打つ茶色の髪と豊かな胸に、締まった腰つきの女性が立っていた。
……? どこかで……。
「あら、初対面よ。それよりどうなの?」
……もしや、あの時寄ってきたのは私の情報を集めるためではなかろうな?
「どこまで探れる?」
「死なない程度までかしら」
あとはお金次第ね、と。
くすりと紅い紅をひいた唇が弧を描いた。
信用できるか判断がつかないため考えていると、彼女が先に口を開く。
「あなたの一つ上のお兄様を見かけたわ」
私が誰かわかっていて声をかけてきたという事か……ジャン兄上の情報も持っていると?
しかし、私が王子と分かっていれば兄が二人いる事は周知の事実。
もう一声欲しいところだが……。
「それだけではな」
「そう? あまり手の内を見せたくないのだけれど……あなたの大切にしてる彼は元気になったの?」
「……なるほど。情報通だ」
異界の旅人が保護されていることは公にしていない。特に今回シズが臥せっている事は一部の者しか知らぬはずだ。
誰かが口を滑らしたか、それとも内通者がいるのか……。
「勘違いしないで、私はお金の味方よ」
「……いしの呪いの【核】をギルドに依頼した人物を知りたい」
「五日後にここで会いましょ」
報酬は情報と交換よ、とそれなりの金額を提示しながら現れた時と同じように静かに去って行った。
五日か……ジャン兄上の事も知っていそうだが、依頼主がわかってからでもいいだろう。それまでに我が城の兵たちが見つけるかもしれん。
では、城へ戻るか……いや、その前に魔法屋で何か情報がないか確認するとしよう。
そうして魔法屋へ向かい店主に呪いの特性を持つ【核】について聞いてみたが、そのような危険性のある【核】は取り扱う事はないとの返事だった。仕入れる前に鑑定済みの物しか入れない。ただ、利用方法がわからない珍品扱いの【核】を売ることはある。
実際、シズが購入した紫色の【核】は利用価値がなく色だけが非常に珍しい【核】としてその筋では高値で取引されているとのことだった。
競売にかけると更に値がつり上がるだろう、とも。それほどに希少だったようだ。
王族としては競売に関して素直に頷けないところではあるが……。
これ以上の情報は得られないと判断し、今度こそ城へ戻る。
そして未だ眠るシズを見て、安堵と残念な気持ちの両方を感じてため息を吐き出した。
次の日に漸く変化が訪れる。
シズが目を覚ましたのだ。
「なんかすごい寝た~」
第一声がこれである。
シズらしいといえばそうなのだが、思わず苦笑してしまった。
喉が乾いているだろうと、水を差しだすと喉を鳴らしながら飲み干している。
そしてグラスを受け取った時にそれは起こった。
「ありがとう……ねぇ、お兄さん誰?」
その言葉に頭から雷を落とされた後に冷や水をかぶったような衝撃が体を駆け巡った。
ともだちにシェアしよう!

