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第27章 問診 **

 ルーレットが止まった。 【医者 × 患者】 「お、医者」 「ユウが患者」 「久世さんが先生ね」  悠麻はスマートフォンをテーブルへ置き、ソファに座り直した。 「先生、お願いします」  ソファの端で、和真が悠麻のほうへ身体を向ける。白衣はない。あるのは、いつもより少しだけ改まった声だけだった。 「今日はどうしました」 「最近、睡眠不足で」 「それは困りましたね」  和真は悠麻の顎に指を添えた。親指が唇の端に触れる。診察の真似事にしては、ずいぶん距離が近い。 「じゃあ、口を開けて」 「……はい」  悠麻が口を開くと、和真の指が唇の隙間から入り込んだ。奥までは押し込まず、内側を指の腹でゆっくりとなぞる。舌が逃げるように動き、指先に触れた。唾液が指に絡み、動くたびに細い糸を引く。和真は構わず、口内の熱を確かめるように撫で続けた。 「んっ……」  目の端に涙が滲む。和真は指を抜かず、上顎から歯の裏を辿り、再び舌へ戻った。 「柔らかい」  悠麻が何か言おうとしても、うまく声にならない。舌を押さえられ、言葉がくぐもる。和真はそんな悠麻を見て、目を細めた。 「ディープキスと浅いキス。どっちが好きですか」  指はまだ口の中にある。 「……ディープ、です」 「じゃあ、確認しましょうか」  指が抜ける。唇の端に残った唾液もそのままに、和真が顔を寄せた。  唇が重なる。  舌が入り込み、上顎をなぞる。そのまま舌を絡められ、引いたと思えば、また深く重なる。ぴちゃ、と小さな水音が静かな部屋に響く。離れ際には唇を吸われ、ちゅ、と短い音が続いた。悠麻は無意識に膝を寄せ、和真の身体を挟み込む。  悠麻の手が和真の肩を掴んだ。  そのまま押されるように背中がソファへ沈む。和真が覆いかぶさり、さらに口づけを深くした。舌が深く入り、悠麻の鼻から熱い息が漏れる。  ようやく唇が離れる。悠麻は息を弾ませながら、名残惜しそうに和真を見上げた。  和真はそのまま悠麻の耳元へ顔を寄せ、服の上から胸元へ指を這わせた。布越しに胸の先をゆっくりとなぞる。 「右と左、どっちが感じますか」 「……両方」 「どっちか答えて」  悠麻は目を伏せる。 「右」  ところが、和真が触れたのは左だった。  布越しに指先で転がし、摘まんでは離す。同じ場所を何度も弄られ、悠麻が眉を寄せた。触れられていない右まで、妙に意識してしまう。 「んっ……なんで、そっちばっかり」 「左も感じやすくしてあげる」  部屋着がまくられ、肌が空気に晒される。冷えた肌へ和真の吐息が落ち、悠麻の肩が小さく揺れた。  次いで、和真の唇が左胸へ落ちた。舌先で刺激され、浅く口に含まれる。悠麻の腰が小さく浮いた。舌で何度も同じ場所を弄られるうち、左だけがじわじわと熱を持っていく。 「右も……触って」  和真は左を口に含んだまま、空いた手を右へ伸ばした。指先が触れた途端、悠麻の背中が反った。  左右同時の刺激に、悠麻の踵がソファの縁を蹴る。 「んあっ……ああっ」  腰が和真の身体へ擦りつくように、小さく前後する。自分から動いていることに気づき、悠麻は顔を逸らした。和真は何も言わない。  やがて和真の手が胸元から下り、悠麻のズボンの前へ滑った。  布の下では、貞操帯の中で性器が窮屈そうに膨らんでいる。籠の隙間から赤くなった先端が覗いていた。  鍵が外される。小さな金属音とともに拘束が解け、閉じ込められていたものがぷるん、と飛び出した。冷えた空気に当たって小さく跳ね、先から透明なものが筋を引く。  解放された性器を和真の手が包み、先端から竿へと交互に撫でた。熱を持ったそれに、掌がゆっくりと滑る。 「先端と竿、どっちが気持ちいい?」  悠麻はすぐには答えられず、代わりに和真の掌へ腰を押しつけた。先端を擦りつけるような動きが、そのまま答えになっていた。  すると和真は竿から手を離し、先端だけを親指で刺激するように、ぐりっと円を描く。強すぎる刺激に逃げようとする腰を、和真の膝が内側から止めた。 「ちゃんと答えて」 「っ……先端、が……好き」 「そう」  答えを確かめるように、和真の親指がもう一度そこを撫でた。悠麻の腰が小さく揺れる。指が離れるたび、透明な液が細く糸を引いた。  ローションの容器が鳴った。  濡れた指が後ろへ回り、入口をほぐしてから一本が入る。内側を探る指先が、やがて膨らんだ部分に触れた。悠麻の脚が反射的に和真の腰へ寄る。  そこで和真が真顔のまま尋ねる。 「この膨らんでるところ、何ですか。出来物かな。手術で取らないと」  指先で軽く刺激され、悠麻の腰が跳ねた。引っ掻くような小さな動きなのに、腹の底まで電流が走った。 「そこ、前立腺だから……そんな触り方、だめ」  言われても和真はやめない。浅く刺激しては撫で、悠麻が油断したところで胸元にも手を伸ばす。忘れた頃に右胸を強く摘ままれ、悠麻の身体が大きく跳ねた。 「ひあっ――」  悠麻の身体が大きく震えた。先端から液体が噴き、和真のシャツの裾を濡らした。  和真はその反応を見て、再び問いかける。 「今出たのは何ですか」  悠麻は答えず、代わりに和真のズボンへ手を伸ばした。  布越しにも分かる硬さを握り、潤んだ目で見上げる。もう問診に付き合う余裕はなかった。 「もう、これ……頂戴」 和真が悠麻の脚を開く。太腿の裏を掌で支えて、入口に先端を当てる。ローションの光が、当たった場所で広がる。熱い先が、まだ開いていない輪郭をゆっくり押し分ける。 ゆっくりと身体を重ねる。入口が先を咥え、迎え入れるような動きをする。悠麻の呼吸が詰まったところで、和真は一度動きを緩めた。 中の粘膜が、入ってきたものにまとわりつく。ぬるりと纏って、引き抜こうとする先を離さない。 「……きつい」 「ごめん」 「緩めて」 悠麻は和真の肩を掴んだまま、首を横に振った。 「力、入れてない」 「本当に?」 「そんなやり方、分かんない」 和真は途中までで止まり、額を悠麻の額につけた。中はまだ締めている。脈ごとに、内側が先をしゃぶるように収縮する。 和真はそれ以上沈めず、その締め付けのまま悠麻の唇を重ねた。浅い。吸う。離れて、また含む。悠麻の口が開いた隙間へ舌を入れて、中の熱と同じリズムで絡める。 キスのあいだに、内側がわずかに緩む。和真はそれを逃さず、残りの深さを埋めた。 根元まで入った瞬間、悠麻の喉が鳴った。粘膜が太いものを根元まで咥え込み、隙間なく密着する。 和真は動けずに、もう一度口づけた。深く。水音が唇のあいだで小さく弾ける。 「んっ……入ってる」 「うん」 「久世さんの、熱い」 和真が腰を引くと、粘膜が名残を引いてついてくる。抜こうとしてもそこは入り口までしゃぶりついたまま戻そうとしない。 沈めると、奥が先を包んで吸い上げる。 和真は短い振幅でそれを繰り返した。引き抜いては入口を擦り、沈めては奥に当たる。水音が小さく、規則正しい。 「奥と入口、どっちが好きですか」 「んあっ……両方、ですっ」 「欲張りですね」 和真の動きが速くなる。悠麻の膝が和真の脇で開き、背中のシャツを強く掴んだ。締まりがまた強くなる。 和真は一度腰を止めて、悠麻の唇を塞いだ。言葉の代わりに、舌で奥を撫でる。 悠麻はキスの途中で息を漏らす。そのたびに中がきゅう、と和真のものを締め直した。 「ユウ、緩めて」 「無理……っ、分かんない」 「もってかれそう」 言ってから、和真はまた沈めた。きつい内側を、熱いまま押し開く。 悠麻は和真の口を求め、自分から唇を重ねた。噛まない。吸い合う。離れるたびに糸が残る。腰は止まらない。 いつの間にか「先生」に「久世さん」が混じる。 「久世さん……奥、当たってる」 「痛いか」 「違う。離さないで」 和真は答えの代わりに、悠麻の下唇を浅く含んだ。 一番奥で腰を止めて、熱を放つ。広がる感覚に、悠麻の内側が何度も強く収縮した。和真のものを離さず、しゃぶるように脈打つ。 悠麻の先も、挟まれた腹のあいだで跳ねた。 やがて二人の身体から力が抜ける。 和真は抜けずに、額を悠麻の肩へ預けたまま動かない。中はまだ熱いものを締めている。 悠麻は和真の背中に手を回し、短いキスを肩に落とした。 「再診、いる?」 「…誤診されたらだめだしな」 和真は小さく笑って、その口をもう一度、浅く重ねた。

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