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第45章 俺がしたい

 和真は仰向けのまま、動こうとしなかった。  悠麻はその上に跨がり、覆いかぶさる。シャツのボタンを一つ外し、また一つ外す。  いつもされる側だった口づけを、今日は自分から仕掛ける。  唇が重なる。浅いところから始めて、焦らしながら深くする。歯茎と歯のあいだを舌でなぞり、上顎をちろちろ舐める。和真の舌は厚くて熱い。そこに自分の舌を擦りつけた。  一瞬だけ、舌先を吸い上げられた。  それが嬉しくて、口の端から涎が流れても構わず、また口づける。  離れては重なり、離れては重なる。涎で顎が濡れる。構わない。むしろ見てほしかった。どれだけ和真を欲しがっているのか知ってほしかった。  キスにいったん満足したところで、ベッドサイドのローションを取る。蓋が鳴る。  自分の入口へ塗りたくり、まだ硬さの足りない和真のものにも絡める。ゆっくり擦り合わせる。空いた手で、自分の乳首へも指を這わせた。  入口がちゅうちゅうと収縮を繰り返す。前後する腰に合わせて、和真の表面を上下に吸い付くように移動する。  先端が穴の縁に当たるたび、腰が小さく跳ねた。入る手前で外れる。また当てる。当たるたびに、中が物欲しげに熱く疼いた。  乳輪を指で円く撫でる。先端が尖って主張し始めたところで、意を決して力を入れて摘まみ上げた。 「あああんっ」  甘い声が漏れる。  挟んだしこりをつぶすように、何度もこねる。爪が浅く引っかかる。そのたびに両脚がばたばたと開閉して、快感を逃がそうとする。  和真の腹の上で、膝が滑る。上手く座れない。それでも指を止めない。  どのくらいそうしていたか分からない。  熱を持った分身が、貞操帯の中で窮屈そうに膨らんでいく。貞操帯の隙間から、先走りがにじむ。  とろけた顔のまま、和真の腹の上でそれを振る。ぺちぺちと当たる。金属が腹を叩く。  恥ずかしい。やめられない。 「お願い、これ、とって」  声が濡れている。半泣きなのか、熱いのか、自分でも分からない。  和真は鍵を外した。  カチ、と鳴る。  解放されたものが、腹の上へ落ちるように出てきた。空気に触れた拍子に、透明なものがだらだら垂れる。  和真の視線が、そこへ落ちる。  手が来ない。  見てくれているだけじゃ、足りない。  悠麻はまたベッドサイドへ手を伸ばす。箱からブジーを一本取り出す。  和真がやっていたのを思い出してローションを垂らし、自分の分身へあてがう。  鈴口がひくひく開いている。  つぷ、と沈む。  前回より早く、飲み込まれていく。腰を震わせながらも、持つ手に力を入れた。  痛くはない。この先に来る熱を、もう知っている。  最奥まで届いた拍子に、背中が反る。 「あああっ」  ここからが、本番だった。  白くかすむ頭を引き戻しながら、ブジーを動かし始める。  みっともないところまで、和真に見てほしかった。求めてほしかった。  自分の弱いところを、自分の手で潰す。棒の先が前立腺に当たるたびに、下腹の底がきゅっと締まる。  逃げそうになる腰をぎゅっと我慢させる。同じ場所へ、何度もトントンと沈める。  自分で自分を責めて、熱を出している。  脚は開いたまま、和真の目の前で大きく開き自分からブジーを深く沈めた。  他のことが、薄れる。  浅く抜いて、深く入れる。潰しては離し、離してはまた潰す。  声が甘く崩れる。  こんな顔は見せたくない。見せたくないまま、見てほしくて、同じ場所を自分で擦り続けた。  そのとき、跨がっている和真のものが、きちんと硬くなっているのに気づいた。  掌の下で脈がある。  さっきまで足りなかった熱が、そこに確かにある。 「……おっきくなった」  嬉しそうに、それを自分の入口へ導く。  少しずつ抜き差ししながら、銜え込んでいく。  途中で前立腺に当たる。ブジーが尿道側から押し、和真のものが後ろから持ち上げる。前後から潰される。  気持ちよくて、無意識にそこばかり擦りつけていた。  腰が小さく、みじめにその場所ばかりを往復する。  そこがいい。  そこから動けない。  悠麻はドライで痙攣して果てた。  やがてなんとか自分の奥まで入れきったが、和真のものは根元まで入りきっていない。残りが外で熱を持っている。  息を整えようと目を閉じた、その瞬間。  昨夜見た光景が、まぶたの裏に浮かんだ。  和真の隣を歩く男。  腕に絡んだ手。  振りほどかなかった和真。  胸の奥が、またざわつく。  嫌だ。  さっきまで薄れていた焦りが、一気に戻ってきた。  もっと。  もっと深く。  全部、欲しい。  悠麻は逃げかけた腰を止め、そのまま強引に身体を沈めた。  声にならない声が出た。  ブジーが抜けて、すごい勢いで潮が噴く。和真の腹を、胸を、濡らす。  全身が痙攣する。脚が開いたまま、がくがくする。 「大丈夫?」  焦点が合わないなか、和真が心配そうにこちらを見た。  中のものは、まだ出していない。硬いまま、奥で脈打っている。 「……俺、下手?」  声がなさけなく涙声になる。 「そんなことないよ。気持ちいいよ」  信じられない。  優しい声が、今日は遠かった。  和真の言葉が信じられない自分も、嫌だった。目尻が熱い。涎も潮も、顎も腹もぐちゃぐちゃなのに、足りない。 「お願い、めちゃくちゃにして」  何も考えたくなかった。  考えられなくしてほしかった。  他の男も、拒まれた夜も、自分の下手さも、全部、潰してほしかった。  和真の顔が、一瞬だけ曇る。  それから低く言った。 「ユウは、もう動かなくていいよ」  そこから、激しさが変わった。  結腸まで入っているものが、短くちゅこちゅこと小刻みに動いて、最奥の粘膜を刺激し続ける。逃げる隙間がない。  奥を叩かれるたびに、喉の奥で声が潰れる。  ブジーは和真の手に移り、大きくグラインドさせて抜き差ししたかと思えば、奥へ押し込んで前立腺をぐりぐり潰す。  角度を変えて尿道を擦られるたび、悠麻は快楽にすすり泣いた。 「ひっ……んあっ、だめ、そこ……っ」  放置されていた乳首も、右は指、左は唇。摘まみ、ひねり、押しつぶされる。  吸われるたびに腰が跳ねて、跳ねた拍子に奥のものがさらに深く当たる。  何度も、前も後ろも塞がれたまま絶頂した。  ブシーと尿道口の隙間から、精液がとろりと漏れた。  何回イッたか分からない熱のあと、腹の奥で和真の熱いものが広がった。  その拍子に、視界が白くなって、意識が手放された。  意識を手放した悠麻の体を和真が丁寧に拭いた。  胸も、腹も、太腿の内側も。  貞操帯はもう付けなかった。  悠麻は目を閉じたまま、拭かれる手の温度だけを感じながら、何も考えずに沈んでいった。

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