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#7 虚城③※
「アビはオレのこと好きなの」
「さあ、そうかもなぁ」
ぱくり。
まだ柔らかさの残るペニスを口いっぱいに頬張る。
完全に勃ったら顎がしんどい事になるので、ご奉仕する時はいつもこの状態。
とは言えしたことは殆ど無いのだけど。
「零さんようにな」
とんでもなく苦い味がする。
それでもあのつるりとした先端から出ているのだと思うと、全て飲み干したくなってしまう。
あむあむと唇で喰んでみたり、いつもしてもらっているように舌で舐めたり。
うっかり歯が当たっても平気だけれど、想像してオレの心臓がヒュっとなるので、丁寧に。
「ちょっと趣味悪いけど、オレは好きだよ」
「うるさいわ、はよ発情せえや」
耳の中に指を突っ込まれて、背中がふるりと震える。
アビシェラの体液と、オレの唾液が混ざったぬちゃぬちゃとした音が、頭に何度も響く。
「アビ、獣避け、」
この村には結界もあるし、狼にも鳶にも攫われる心配はないだろうけれど。
森との境界すら曖昧なこの庭には、踏み込めてしまうかもしれない。
ヒトとか、龍とか、未知の生物とか。
「……ちゃんとしとるよ、集中しろ」
「んぶっ」
鼻を摘まれて、苦しくて口を開けると、舌の付け根辺りまで押し込まれる。
いつもしてもらっているけれど、こんなに、苦しかったなんて。
「んっ、んん、ん」
「効いてきたな」
喉の奥では違和感しかなかったのに。
ズルリと抜かれるペニス。
引いた粘液糸が舌に絡みついて、苦かったことを思い出す。
それでもそれが、欲しくて堪らない。
「アビ、もっと」
「もっと、何?」
ふっと口元が緩む彼の、この表情が好き。
「セックスしたい」
薬をずっと飲んでいれば、いつだって笑っていてくれるのだろうか。
「外じゃけど、ええのん?」
こんな些細なやり取りでバキバキに勃起してしまった彼のものが、この上なく愛しい。
それがオレの感情を反映させたものだと、分かっていても。
ちゅっちゅ、と縋るようにキスを落としながら頷く。
ゆっくりと上下に動くアビシェラの熱が唇越しに伝わってヒリヒリする。
「服脱いでお強請りせえや」
「……最近意地悪だね」
ずっと頭を撫でていてくれた手が、ぴたり、と止まってしまう。
そしてその手は徐に宙を漂い、洗いたてのシーツを地面へと落とした。
「向こう側から丸見えだよ」
「こんな辺鄙な場所まで来る物好きおらんわ」
「数十年に何回かは迷い込むのがいるけど?」
腰紐を解いていたオレを抱き上げて、額にたくさんのキスをくれる彼。
それに応えたいのに、適当にあしらわれていい匂いのシーツに転がされてしまう。
「せっかく洗ったのに……」
「俺が片付けするけえ心配せんで、ルルが頑張れば早う終わるよ」
「んっ、アビも気持ちよくなれる?」
大きな体にすっぽりと覆い被されてしまうオレ。
はだけた胸元に吸い付かれながら、熱く滾ったアビシェラのペニスでアヌスをぐりぐりと圧迫される。
「もうなっとるよ」
「ふふ」
乳首を弄るのに忙しい彼に代わって、苦い唾液を纏わせた指を下半身へと這わせる。
彼のモノにも負けない程熱を持って、ふっくりと膨れた縁をなぞれば、腰が甘く震えてしまう。
「挿入るかな……」
ふたりの間に隙間風が割り込んで、カウパーで濡れた皮膚がほんの少し寒くて、きゅっと体が強張る。
途端に挿入した指を結構な力で締め付けてしまい、これだと痛くないかなと、心配してしまう。
意味はあまりないのだけれど。
「アビ」
外でこんなことして、獣みたい。
「っあ、」
オレの指もそのままに、割り込んでくるアビシェラ。
息が止まりそうな圧迫感。
「石……」
根本まで早急に押し込みながらポツリと呟くも、その唇は見えない。
自分の体温とアビシェラのペニスの熱で蕩けそうなそこから、ゆっくりと指を引き抜く。
邪魔がいなくなって、嬉しそうに、ぴったりと隙間なく彼を包むオレの身体。
「石?」
滑らかな髪を首筋に擦り付けながらアビシェラはずっと肩口を噛んでいる。
まるでモフが拗ねている時と同じ。
「ルルが行きたい言うとったんよ」
そこで漸く思い出した。
あの小さな瓶に入れた小石は、ふたりで拾ったものだった。
「湖、だったね」
あれはいつだったろうか。
確か、大きな水溜りが見たいと、アビシェラの忍耐を測るような事を言って見た日だ。
あの頃はこんな風に彼とセックス漬けになるとは思いもしてなかった。
「次は海がいいかな、3人で」
「また忘れよるのに?」
チリッとした痛みが肩に走る。
「オレには優秀な外部ディスクがいるから、ね、アビー?」
くっきりと残った歯型にキスを落としながら、離れてゆく細い髪。
快晴を背景に、透ける彼の輪郭が美しい。
「ならずっと近くにおらんとな」
「ふふ、嬉しいなあ」
「ルルはそのうち媚薬の作り方意外全て忘れそうじゃからね」
そう言って彼は、逆光の下でほんの少し困ったように笑うのだ。
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