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第3話

 仕事を終わらせて指定された店に行くと、彰二は出入り口に立っていて、大翔を見るなり満面の笑みを浮かべた。  その顔に、なぜか胸がざわつく。  それを誤魔化そうと、無理やり仏頂面をつくって彰二を睨み付ける。 「何か不機嫌そうだな。仕事で何かあった?」 「誰のせいだと」 「さあさ、中で話そう」  彰二はあろうことか、大翔の腰を抱いてきた。 「っ!?おい、何やって」 「ん?何が?」  彰二の本気で分かってなさそうな顔を見て、脱力する。  そうだ、こいつは一度決めたら誰が何と言おうと覆さない頑固者で、自分の考えでしか動かないんだった。  改めてその事実に思い至り、頭を抱えると、彰二が耳許に顔を寄せて囁いてきた。 「顔、赤いな」 「えっ!?……んぅっ」  いきなり。  彰二は店の目の前だというのに、唇を奪った。 「な、にを……?」  驚いて思考が停止した大翔に対し、彰二は舌を少し出してニヤリと笑う。 「ご馳走さま。美味しかった」 「っ……!?」  彰二が笑う顔など、見飽きるくらい見てきたけど、そんなふうに色気を振り撒かれたことは初めてで。  ぼっ、と音がするほど自分の顔が熱くなるのを感じた。  彰二がどういうつもりかますます分からなくなると同時に、身の危険を感じずにはいられなくなった。 「お、俺、かえ……」 「帰るなら、送ってく」  あっさり受け入れられてほっとした。

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