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第12話

20:30 悴む手を擦りながら職場を足早に後にして 俺は待ち合わせ場所へ向かった 駅の裏側改札前、前回と同じ。 待たせてしまっているだろうか? 連絡は入れていたものの定時で上がろうとコンを詰めすぎて最後の頃はあまりスマホを確認できなかった 改札に着くと辺りをきょろきょろと見渡す あれ?誰も居ない てっきり待たせてしまったかと思ったが俺の方が先だった……? そんなことを考えながらロータリーへ目をやると背の高い男性がなにやら高そうな車を停車して降りる所だったハザードで顔まで見え難いが見た事のある様な風貌 ん?まさか いやいやいや俺車詳しくないけどあれ絶対高級なやつ……! 車から降りた男性はこちらを認識するとにこにこな笑顔で手を振りながらズンズンと近づいてくる 「待たせちゃいました?コウくん」 ああ……このキラキラなイケメンの男性、俺の待ち合わせ相手で間違い無い…… なんて言うんだっけ?若い子達の言葉でこの人にピッタリの言葉、メロい??だっけ? 「ショウさん 車で来られてたんですね」 ああ、と車の方に一瞬目をやるとショウさんは乱れていた俺のマフラーをせっせと整えながら「一緒にドライブいかない?」と笑いかけた。 予想の斜め上だ 確かにえっちな目的じゃないと告げられていたので食事とかかな?と勝手に思っていた、それともショウさん本当は悪い人でこのまま誘拐して俺の臓器とか……そんな事をぐるぐると考えているとショウさんはそんな様子の俺を見て不思議そうに首を傾げた 「あの、ドライブって……」 「見せたいものがあるからもし良ければ」 マフラーを整え終えた手はそのままぽんぽんと頭を撫でる 「ショ…ショウさんがご迷惑じゃなければ」 どこか照れくさくて目を背けながら答えるとショウさんは俺に 俺が一緒に行きたいんだよ と微笑みかけた。 ---------------- 車に乗り込むとショウさんの甘い香りがした 俺は助手席に座って、運転をするショウさんをぼんやり眺める……ほんと格好いいよな。 「お仕事急がせちゃったみたいでごめんね」 「そんな事ないです、定時で帰る予定だったので」 嘘つけ、いつもはガッツリ残業して帰るくせに なんなら定時上がりを同僚達に驚かれて今日は槍が降るだの散々言われたくらいだ 車は街並みを抜け、灯りも疎らな山道へと入っていく ──え?本当に誘拐?? 心地の良い車内の温度とは裏腹に冷や汗をかく そうだよなここまで俺に優しくする意味なんてないよな、きっとこのまま売り飛ばされて…… ……くん、…ウく……ん コウくん!! ハッ! 自分の悪い妄想に飲み込まれていた様で、気が付けばもうとっくに停車していた 「着いたけど大丈夫そう?」 「え、あ はい!」 少し寒いけど、とショウさんは助手席のドアを開けてくれる、ひやっと流れ込む外気が冷たくてビックリしたがそれ以上に目の前に広がる光景に驚いた 小高い場所から見えるキラキラと光る街の灯り まるで夜空の星を転がしたかの様なチカチカと瞬くような鮮明な明るさが俺の目の前に広がっていた 「綺麗。」 見蕩れているとショウさんは 「ちょっとベタだったかな?どうしてもここからの夜景を君に見せたくて」とキラキラと光る夜景を眺めながら言った ショウさんの目にもキラキラと光が反射して凄く綺麗だ。 「ありがとうございます」 少し恥ずかしかったがショウさんの手に触れると ニコリと笑ってゆっくりと手を繋いでくれた 「温かい…」 暫く夜景を眺めていたが 真冬の気温、ましてや標高もだいぶ高いので流石に身体が冷えてきた 「そろそろ帰りますか」 ショウさんは横目で俺を見てそう言うと繋いでいた俺の手を引く もう終わりの時間、次会えるのは? 離れたくない…帰りたくない 「あ……の。」 俺はショウさんの手をギュッと掴み返して足を止める 「ショウさん…俺明日休みで……」 ん?と不思議そうに見られてしまったが後に引けない 顔が熱くなるのを感じる、そういえば顔に出てるって言われたっけ 「ショウさんが大丈夫だったら朝まで一緒にいてくれませんか?」 「……それはそういうお誘いで大丈夫?」 心臓の音が煩い ショウさんの顔を直視出来ずに、俺は俯きながらこくりと頷くとそのまま手を引かれ車へと戻った

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