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第3話 扉の向こうで

【登場人物】 吉川輝 よしかわひかり(あだ名→ひーくん) →浦井の事が好き。 浦井耀 うらいひかり(あだ名→ひかり) →吉川の事が好き。 ━━━━━━━━━━━━━━ --10年前 幼稚園の砂場 吉川「オレは、ひかりのそばから 離れないから!」 浦井「ホントー?」 吉川「オレが居なかったら、 何もできねーじゃん!」 浦井「そんなことないよー!」 --浦井の夢の中 遠ざかる吉川 浦井「ひーくん!どこ行くのー?」 さらに遠ざかる吉川 浦井「ひーくん置いてかないでー!」 霧の中に消えていく吉川。 浦井「ひーくん……」 ブルッブル、ブルッブル、ブルッブル --現在 AM 8:00 ”ひーくん” LINEオーディオ… 吉川からの着信 浦井「もしもし……」 吉川「おはよ」 浦井「おはよー」 吉川「今、浦井ん家の前にいるんだけど、 もう学校行っちゃったー?」 浦井「んーん。まだ……。 今、起きたとこ……」 吉川「え……?」 浦井「なにー??」 吉川「今8:00だよ??」 飛び起き、通話しながら窓を開け 家の外を見下ろすと……。 スマホ越しに、 吉川「おはよ」 と言い、手を振る吉川がいた。 浦井「どうしよう……?」 吉川は自転車の後ろに顔を向け 吉川「後ろ乗せてやるから、 早く着替えて降りて来な」 浦井「わかった!」 ピロンッ。 カチャン。 自転車を止め、 胸元に入れた写真を取り出した。 幼稚園の時に撮ってもらった耀との写真。 その写真を眺める吉川。 思い出し笑いをする吉川。 吉川「寝坊すんのも変わってないか……」 --5分後 ガチャッ 玄関のドアが開き 勢い良く出てくる浦井。 浦井「ごめーん!!」 吉川「意外と早かったな……」 またも思い出し笑いをする吉川。 吉川(ちょっとは成長したか……) 浦井「笑うとこ??」 吉川「ま……まぁ……」 吉川「てか、呑気に話してる時間 無いと思うよ……」 浦井「ごめん!!」 自転車の後ろに跨り 吉川の腰に手を回す浦井。 吉川「行くよ!!」 自転車を漕ぎ学校へ急ぐ二人。 幼稚園の時、補助輪付きの自転車に 二人乗りしている二人が重なる……。 ━━━━━━━━━━━━━━━ --放課後 浦井「吉川……」 吉川「どした?」 浦井「朝……ありがとう……」 吉川「オレが寄ってなかったら、 遅刻してたな!」 浦井「ねぇ!今日オレん家寄ってかない? 今日、自転車に乗せてくれた お礼もしたいし……」 吉川「え?そんなのいいよー」 浦井は、数学の教科書を広げ 浦井「ここ、分からないから、 教えて欲しい!!」 吉川「オレ、 家庭教師じゃないんだけど……」 浦井「ショートケーキあるよ……」 吉川「行きます……」 ━━━━━━━━━━━━━━ --浦井の家 ガチャッ 浦井「ただいまー」 ………… 浦井「あれ?ただいまー!」 ………… 吉川「誰もいないね」 浦井「出かけてるのかなぁ?」 浦井「ま、あがって!」 吉川「お……じゃまします……」 吉川(懐かしい匂い……。 ひかりん家の匂い……。 ここも変わってないな……) 階段を上がり自室へ吉川を通す浦井。 ガチャッ 浦井「どーぞ!」 吉川(懐かしい……) 吉川「あ、ありがとう」 浦井「適当に座って」 吉川「意外と綺麗にしてるんだね」 浦井「意外と……。ってなにー??」 吉川「あ……、ごめん」 部屋を見回す吉川。 吉川は、ふと思い出したかのように 小さいテーブルの前に座った。 浦井「え……?」 吉川「どうしたの?」 浦井「ん……、うーん。なんもない……」 その場所は、幼稚園の時、 吉川がいつも座ってた場所だった。 浦井「お茶とケーキ持ってくるね」 吉川「ありがとう!」 ガチャッ 浦井が部屋を出て扉を閉めた。 扉にもたれた浦井。 浦井「覚えてたんだ……」 その事が嬉しくて涙が込み上げる。 すると、一筋涙が頬を伝った。 腕で涙を拭う浦井。 そして小さい声で呟いた。 浦井「ひーくん……」 吉川は立ち上がり そっと扉に手を当てた。 吉川「もちろん。 忘れる訳ないじゃん……」 そして俯き、床に目をやると、 ポツッ……ポツッ……。 涙が一粒ずつ床に落ちる。 吉川「ひかり……」 吉川「もう……、どこにも行かないから……」 一枚の扉を挟み お互い、涙を流していた。 つづく

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