4 / 6
第4話 やっと……。
【登場人物】
吉川輝 よしかわひかり(あだ名→ひーくん)
→浦井の事が好き。
浦井耀 うらいひかり(あだ名→ひかり)
→吉川の事が好き。
━━━━━━━━━━━━━━━
吉川「ひかり……ドア……開けていい?」
浦井「ひーくんは……ドア開けたい……?」
吉川「開けて、ひかりを抱き締めたい」
ドアのノブがゆっくりと動く……。
ガチャ
ゆっくりと扉が開いていく。
お互い涙を流し立っている二人。
吉川「ごめん。10年経っちゃった……」
浦井「もう……会えないかと思った」
吉川「ひかり……」
バッ……
堪えきれず抱き締め合う二人。
吉川「ごめん……。ひかり……」
浦井「ずっと……会いたかった……」
吉川「オレも……ずっと会いたかった」
身体が解けお互い見つめ合う二人。
指で浦井の涙を拭う吉川。
吉川「ひかりは、
相変わらず泣き虫だなぁ……」
浦井「ひーくんだって泣いてんじゃん」
指で吉川の涙を拭う浦井。
吉川の顔がゆっくり浦井に近づく……
ゆっくり目を瞑る浦井……
近付く唇と唇。
ガチャッ
ガサゴソガサゴソ
「ひかりー?帰ってるのー??
誰が来てるのー?」
唇が触れる寸前で下の玄関から声がした。
顔は離れるが抱き締め合ったままの二人。
浦井「おかえりー。
友達が遊びに来てるー」
母親「園部くん??」
吉川「お邪魔してまーす!」
母親(ん?園部くん、じゃない??
まさかねぇ……)
母親「冷蔵庫にケーキ入ってるからー」
浦井「知ってるー。」
離れない身体。
浦井「ケーキ取ってくる」
吉川「またお預けだね……」
浦井「…………」
浦井「違うし……」
浦井が動いた。
ちゅっ。
軽く
唇と唇が重なった。
離れようとする浦井。
吉川「全然足んない……」
腕を掴み強く引き寄せる吉川。
浦井「ん………………」
目を瞑る間もなく
唇が重なっていた。
ゆっくり目を瞑る浦井。
吉川「………………」
ゆっくり目を開ける浦井。
浦井「……全然足んないって……」
吉川「ひかりは……?」
浦井「全然足んない……」
吉川「これから少しずつ
10年分埋めてこ」
浦井「……うん……」
部屋に戻る二人。
ガチャ
小さいテーブルの前で
手を繋いで並んで座る二人。
浦井「いつから気付いてた?」
吉川「おととしから……」
浦井「え?おととし??」
吉川「うん……」
吉川「おととし、この街に戻ってきてさぁ、
戻ってきてすぐに家の前まで来たけど
その時は、会う勇気が無かった。
たまにすれ違ったり、
近くにいたりしたんだよ。
でも、声を掛けることも
名前を呼ぶことも出来なくて。
友達伝いで、ひかりが今の高校に
進学するのを知って、
オレもこの高校に進学した。
ひかりの傍にいたくて。
入学式の時もそう。
ひかりの声を聞きたくて近くにいたら、
園部がたまたまオレのことディスって。
つい、振り返ったら、
目の前にひかりがいて。」
浦井「実は……オレも……」
浦井「ひーくんが帰ってきてたの……
前から……知ってた……」
吉川「え……?うそ……?!なんで??」
浦井「友達と駅で待ち合わせしてた時に
見かけた。
びっくりして動けなかったの、
今でも覚えてる。
追いかけたけど、もう居なかった。
でも、この街に帰って来てる。
ってことは、なんとなくわかった。
あと……」
立ち上がり机の引き出しから
一通のハガキを取り出す。
浦井「これ……、去年届いた年賀状。
消印……ないでしょ……。
住所も知らないはずなのに、
消印も無い年賀状……。
あ……、来たんだ。
やっぱり帰ってたんだ……。って」
ゆっくり横に座り再び手を繋ぎあった。
浦井「それからこの近辺を探してみたけど、
ひーくんの家分からなくて。
まさか、川を挟んで隣町だとは思わなかった。
クラス発表の時、びっくりしちゃった」
吉川「なんで知らないフリしてたの?」
浦井「ひーくんだって」
吉川「10年も経ってたから、
もう忘れてるかと……」
浦井「忘れる訳ないじゃん」
吉川「良かった……」
浦井「オレも忘れられて
なくて良かった……」
吉川の肩にもたれかかる浦井。
浦井「もう……、どこにも行かないよね?」
吉川「うん……。どこにも行かない」
10年という月日がどれだけ
二人にとって苦しく辛かったか。
心に大きくあいた穴を埋めるには
到底足りるはずもなかった……。
吉川「ねぇ……」
浦井「なに……?」
吉川「学校の日は毎日、
迎えに行ってもいい?」
浦井「毎日起こしてくれるの?」
吉川「モーニングコールも
して欲しいってこと??」
浦井「して……くれるなら……」
吉川「起きたら電話しようか?」
浦井「……うん……」
吉川「わかった」
浦井の頭を撫でる吉川
吉川「マジ、可愛いやつ♡」
浦井「変わった??」
吉川「100倍可愛くなった」
吉川「オレは?変わってる??」
浦井「ひーくんは、100倍優しくなった」
ギィッギィッギィッ
浦井「ママがくる!」
吉川「あ……!」
階段を上る母親の足音がし、
さっと離れる吉川と浦井。
コンコンッ
浦井「はーい」
母親「降りて来ないから、
ケーキとお茶持って来たわよ。入るわよ?」
浦井「どーぞー」
ガチャッ
扉を開け、吉川と目が合う母親。
母親「あら、吉川くんじゃない!」
吉川「ご無沙汰してます。おばさん」
母親「ということは……」
母親「やっと会えたのね……」
浦井の母親も感極まり涙を潤ませる。
母親「良かったねー。ひかり……」
テーブルにケーキとお茶が置かれる。
母親「大変だったんだから」
母親は浦井の顔を見て
母親「ねぇーー」
浦井「何が言いたいの??」
母親「何も……」
母親「明日から賑やかになるわね!」
浦井「なんで……?」
母親「そりゃぁねぇーー……」
母親「ママなんだか
嬉しくなってきちゃった!
今日の晩ご飯ステーキにでもしようかしら!」
吉川「そこも変わらないんだ……」
浦井「変わって……ないね……」
お互い見合ってクスクス笑い合う二人。
母親「これで気兼ねなく
吉川ママと会ったり遊びに行けるわね!」
吉川、浦井
「え……?どういうこと……??」
母親「ずっとママ達連絡取り合ってるわよ」
お互い見合って固まる二人。
母親「なんなら、今日泊まってく?
吉川ママには私から連絡しとくから」
吉川、浦井「え……?」
母親「明日土曜日だし、学校ないでしょ?
吉川くん、なにか用事あった??」
吉川「ないですけど……」
母親「じゃぁ決まりね!!
晩ご飯は、ステーキよ!!」
浦井「そこは変わらないんだ……」
━━━━━━━━━━━━━━━
1階のリビングに降りて来た母親。
スマホを取りだし電話をかける。
浦井ママ「もしもし〜」
吉川ママ「もしもし〜」
浦井ママ
「ひーくん、今こっちにいるから」
吉川ママ
「やっと、ちゃんと話せたのね」
浦井ママ
「そうみたいよ。
二人とも泣いてたみたい」
吉川ママ
「二人にしたら長かったわよねー」
浦井ママ
「そうね〜。でも、お互いちゃんと
話せて良かったわよね」
吉川ママ
「これからよろしくお願いします」
浦井ママ
「”これからも”でしょ!」
吉川ママ
「”これからも”ね!」
浦井ママ
「今日ねー、
ひーくんこっちで泊まってくから」
吉川ママ「いいの?」
浦井ママ
「いいわよ。
話したいこといっぱいあるだろうし。
のぞみも晩ご飯食べに来ない?」
吉川ママ
「え?いいの??」
浦井ママ
「もう、二人のこと気にしなくて大丈夫だし」
吉川ママ「お言葉に甘えちゃおうかしら」
浦井ママ「どうぞ、どうぞ」
吉川ママ「じゃぁ、仕事終わったら行くね」
浦井ママ「待ってる」
━━━━━━━━━━━━━━━
吉川「大人って凄いね……」
浦井「展開が早過ぎる……」
吉川「て……ことは……」
浦井「て、ことは?」
吉川「一緒に寝れるんじゃね?」
浦井「え?!」
驚き変な声が出て、
思わず手で口を隠す浦井。
浦井「いっ……しょ……に……?」
吉川「一緒に……」
顔を赤らめる浦井。
恥ずかしくて俯いた。
吉川「可愛い……」
━━━━━━━━━━━━━━━
--夜 浦井家の食卓
ジューーッ
テーブルには、
ステーキ
サラダ
パン
飲み物が並ぶ。
浦井ママ「今日は奮発しちゃった!」
吉川ママ「そうなの?ありがとう」
浦井ママ「いいわよ!食べて」
全員「いただきます。」
浦井(10年前も、
こんな景色あったなぁ。
その時はお父さんもいたけど……。)
吉川「懐かしいね!」
浦井「そだね。
あの時オレたちはハンバーグだったけどね!」
吉川「それな!」
家族団欒の楽しい食事の時間は
あっという間に終わった。
浦井ママ
「二人ともシャワー浴びちゃってよ」
浦井、吉川「は〜い」
浦井「先にどうぞー」
吉川「おけー」
シャワーを浴びる吉川。
浦井「着替え洗濯機の上に置いとくね」
吉川「ありがとう!」
シャワーから上がり髪を乾かしていると
ガチャ
扉の方に振り向く吉川。
浦井が着替えを持ち入ってきた。
吉川「ビックリしたー」
浦井「オレのママが
入ってきたかと思った?」
吉川「いきなり開くのはビックリした」
浦井「つい……自分ん家だから。ごめん」
吉川「いいよ」
浦井「もう終わる?」
吉川「終わるよ」
すると、服を脱ぎ出す浦井。
吉川「え?今??」
浦井「ママが早く入れ。って
うるさいんだもーん」
吉川「あ……そ、そうなんだ……」
浦井の上半身が鏡に映る。
一瞬、目を逸らすが
髪を乾かしつつチラチラ見てしまう吉川。
浦井が下着を脱ごうとした瞬間。
吉川「ちょっと待った!」
浦井「ん?」
吉川「パンツはさすがにまだ……」
浦井「ん……?」
自分の姿を見る浦井。
浦井「あ……。あーごめん」
吉川「も……もう出るから……」
顔を近付けてくる浦井。
浦井「見ても良いんだよ♡」
吉川「あとで……見る……」
小さい声で呟いた。
浦井「見るんだ……」
ドライヤーを切り
吉川「終わった!」
振り返り
ちゅっ
バタン!
脱衣場のドアが閉まった。
浦井「もぅ……。ズルい……」
━━━━━━━━━━━━━━━
--浦井の部屋
ガチャン
吉川「おかえりー」
浦井「早かった……ね……。
髪乾かして来なかったの??」
浦井「ママが早く入りたいからって、
自分の部屋でドライヤーして。って」
吉川「そういうことね。
じゃぁ、ここに座って。オレがしてあげる」
浦井「いいよー」
吉川「いいから、いいからぁー」
浦井を勉強デスクの椅子に座らせ
ドライヤーを取る。
ウィーーン
ファサファサ
ファサファサ
乾かされてる間
鏡越しに吉川をずっと見ている浦井。
吉川も微笑みながら
浦井に視線を合わせる。
吉川「はい。終わりー」
浦井「ありがとう!」
ドライヤーも終わり、
ベッドに並んで座る二人。
吉川「今日は、色々あったね」
浦井の耳にかかる髪を
優しくかきあげる吉川。
浦井「うん」
吉川にもたれかかる浦井。
肩に腕をまわす吉川。
トン……トン……トン……
優しく肩をたたく吉川。
浦井「覚えててくれてありがとう」
吉川「オレもありがとう」
頭がコックリコックリ落ちる浦井。
吉川「眠たい?」
浦井「うん……」
吉川「寝よっか……」
浦井「うん……」
ベッドの掛け布団をはぎ
吉川が奥に移動し
浦井を引き寄せ
浦井の身体をゆっくり倒した。
つづく
ともだちにシェアしよう!

