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第3話 偶然の再会
鼻腔いっぱいに感じる潮の匂いで、そんな昔のことを思い出す。
この島に来たら会えると思ったのに。
晴海は今何をしているんだろう。
こんなに小さい島だ。
どこかですぐ会えると思っていた。
期待とは裏腹に、入学して1年が経っても一向にその存在は感じられなかった。
登下校中も、買い物に行く時も、晴海の姿を探してしまう。
会ったら"あの時"のこと...。
そんなことを考えていた時だった。
「風宮?」
聞き馴染みのある、けれどあの頃よりも低くなった声がする。
心臓が一気に跳ね上がって、声の方へゆっくりと振り返る。
会いたかったような、会いたくなかったような、そんな気持ちを必死に隠しながら。
「は、晴海」
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「改めて久しぶり、風宮」
放課後、僕らは互いの学校の中間地点にあるカフェで落ち合った。
改めて向き合ってちゃんと顔を合わせる。
凛々しい眉毛に、涼しげだけど意外とつぶらな瞳の垂れ目、しっかりとした鼻、大型犬みたいだ。
ああ、晴海が目の前にいる。
晴海は隣の西高に通っているらしい。
確かスポーツに特化した学校だったはずだ。
暗いチャコール色のブレザーがよく似合っている。
4年ぶりに会うとはいえ、想像していたよりも背が伸び、大人らしくなった姿に、なんだか緊張してしまう。
それに、なんだか雰囲気が変わった気がする。
あの頃の活発少年の姿からまるっきり変わって、少し伸びた前髪はセンター分けにふんわりとセットされ、今風な印象を受ける。
昔は百面相のようにコロコロと表情を変えていたのに、静かに微笑むだけ。
だからだろうか。
あんなに太陽のような輝きを纏っていた彼が、月のような静けさを纏っているのは。
でも、そんなことより。
「会いたかった、ずっと。」
こんなに近くにいたのにね、と付け足す。
どうやら晴海は小学生の時からやっていた剣道を今でも続けていて、その部活で帰りが遅いらしい。
入学式でたまたま部活が無く、いつもより早帰りしていたところ、前を歩く僕に気がついたとのことだ。
「あの時のこと、ずっと謝りたかった」
そう、僕らが疎遠になったきっかけを。
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