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第5話 後悔

「はーい!今から渡す封筒は、家に帰ってから親御さんと一緒に開けましょうね」 一通りの説明の後に、保健教諭が丁寧に一枚一枚配っていく。 封筒には赤文字で「重要」という文字が書かれている。 帰宅してから開封するのは、あらゆる面での配慮だろう。 少し昔までは、フェロモンで魅了する体質を持ち、社会的地位が低くなりがちなオメガに対する偏見が酷かったらしい。 多様性が重要視される今の時代に、そんな価値観は古いのだが、性に対して多感な子どもたち相手には当たり前の処置だ。 (まあ、開けるまでもなく分かっているけど) 封筒を手提げの中にしまう。 僕の母方の家系は代々オメガが多く、母親自身もオメガだからだ。 父親はアルファのため遺伝確率的には他の性別である可能性もあるが、生まれつき病弱なことから何となく自分の性を自覚し始めていた。 悲観は特にしていなかった。 それでも年頃の子ども達にとっては一大事なのだろう。 「これ、今開けちゃわね?」 その日の放課後、晴海に無理やり連れられた公園でクラスメイト達と遊んでいる時のことだった。 言い出したのは誰だったか、今となっては思い出せない。 えー!だめだよ!と、文句を言う者もいたが好奇心には勝てなかったのだろう。 気づけばその場で開封し、見せ合う悪ノリが始まっていた。 (あんまり見せたくない…。でも確かに晴海のは気になる) この時の僕はまだ幼く、考えが浅かった。 1番の調子者から順に一枚一枚封筒の中の紙を広げていく。 ベータ、ベータ、またベータ…。 当たり前だ。この世はベータの人口が1番多いのだから。 滅多にアルファやオメガなんているはずがない。 晴海が封筒に手を近づける。 なんだか凄く嫌な予感がして、冷や汗がたらりと流れる。

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