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第8話 冗談

自宅に帰った後のお風呂上がり、スマホに光る「晴海」の文字を見つめていた。 アイコンにはキラキラと煌めく海が映っていて、なんとも晴海らしい。 (まさか晴海とライヌを交換できるなんて…) あの頃はお互いスマホなんて持っていなかったし、連絡手段すらなかった。 折角だから、この機会に連絡先を交換することにしたのだ。 とはいえ、4年間疎遠だったんだ。 僕は嬉しかったけど、晴海は気まずくないのか…。 それに、久しぶりに会った晴海の変わり様は少しだけ気になる。 特別何が変わったわけではないが、少しだけ覚えた違和感。 だが、昼間のことを思い出すと、なんだか口元が緩んでしまう。 誘ってくれたのは単純に嬉しい。 足をパタパタとさせて真っさらなトーク画面を見つめる。 何か送るべきだろうか。 入力ボタンを押そうと、そっと画面に触れようとしたその時…。 急に着信が鳴り響いた。 「えっ、わ」 「早いな」 急に開いたビデオ画面に驚いて、間抜けな声を出してしまう。 どうやら慌てて応答ボタンを押してしまったようだ。 晴海がふっ、と笑う。 (変な声出た、し、絶対変な顔してた) コホンと咳払いで誤魔化してみる。 「どうしたの?」 「今は暇…そうだな」 「まだ答えてないんだけど…まあ暇だよ」 「よかった」 「え?用事は?」 「…顔見たかっただけ」 「冗談、勉強してる間監視してほしくて」 なんだよ、それ。 思わず頬付きするフリをしながら、冷たい手のひらで熱った頬を冷ます。 この人は、サラッと恥ずかしくなるようなことを言える。 こういうところは変わっていないのか。

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