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第9話 冗談?(晴海side)
風宮と別れてから数時間後の就寝前、勉強机に座っていた。
5月には中間試験がある。
部活で時間が取れない分、毎日コツコツと勉強しないといけない。
ため息をつきながら、息抜きになんとなくスマホを手に取りライヌを開く。
画面には「風宮律月」の文字。
アイコンは昔から飼っている白い小型犬の写真で、ホーム画面は初期設定だ。
全部が風宮らしいな。
何か送るか。
そんなことを思いつつ、文字を打ち込んでいく。
(今日は久しぶりに会えて、)
そこまで入力して文字を消す。
なんか違うな。もっとこう、フランクに。
(俺だけど)
いや、オレオレ詐欺か…。もっと自然に。
そんな作業を繰り返していたとき。
「ッ!」
誤ってビデオ通話ボタンを押してしまった。
(ヤバい、間違えた。早くキャンセルしないと)
「えっ、わ」
画面の向こうから素っ頓狂な声が聞こえて、思わず早いな、とツッコんでしまう。
この様子だ、どうやら風宮の方も間違えて応答ボタンを押してしまったようだ。
焦っている様子が可笑しくて小さく笑うと、風宮が咳払いをするが照れ隠しなのがバレバレだ。
「どうしたの?」
思っても見なかった質問に一瞬固まる。
いや、当たり前だ。
何の用もなく急にビデオ電話を掛けてくる奴なんていない。
けど何て答えるんだ?
メッセージの文面を悩みすぎて間違えちゃいました?
恥ずかしすぎるだろ。
「今は暇…そうだな」
「まだ答えてないんだけど…まあ暇だよ」
「よかった」
「え?用事は?」
苦し紛れに話題を逸らすが、風宮はそれを許してくれない。
「…顔見たかっただけ」
「冗談、勉強してる間監視してほしくて」
あながち冗談でもないが、頬杖をして目を逸らすのでまずかったか。と思い直して、言い訳をする。
ちょうど参考書を開いていて良かった、じゃないと思いつかなかった。
風宮はこういうとき、絶対に目を合わせない。
いつも通りの様子に思わず笑みがこぼれるのだった。
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