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第13話 地区予選
今日は、ついに地区大会当日だ。
会場の入り口付近で千秋と待ち合わせして、広々とした体育館の中に入る。
辺りはシーンと静まり返っていて、周りを見渡すと開会式はすでに始まっているようだ。
偉い立場の人なのだろうか、仰々しい老男性が壇上で開会の挨拶をしている。
「代表生徒。名望学園、九条司」
呼ばれた1人の生徒が立ち上がり、壇上に登っていく。
昨年度の優勝者のようだ、遠くからで顔はよく見えないが、物凄く背が高くて均整のとれた体つきをしている。
190cm近くあるんじゃないか?
ん?名望学園…。
九条司、どこかで聞いたことがある名前だ。
千秋がコソコソと耳打ちしてくる。
「アイツでっけぇー。名高だってさ、知り合い?」
「…!思い出した。
同じクラスで、新学期が始まってからまだ1回も登校してない人だ。」
「はあ?出席数足りんの、それ」
そうだ、壇上にいる彼は僕と同じクラスの九条司。
全く登校してこないから名前すら忘れかけていたが、剣道部だったのか。
風の噂では、今学期だけでなく去年もほとんど学校に来てなかったらしい。
それでも許されているのは、学園長の息子かつ、とんでもなく成績優秀だからだとか。
あんな感じの人だったのか、といってもここからじゃ遠すぎて顔すら見えないけど。
そんなことより、晴海は一体どこにいるのだろう。
生徒たちがズラッと並んでいる群れを凝視して探してみる。
あ、1番後ろにいる。
意外と近くにいたんだな。
背中しか見えないが、すらりとしたたくましい体躯に真っ黒な剣道着が映えている。
しばらく眺めていると、晴海の左手が袴をギュッと握りしめていることに気がついた。
…?どうしたんだろう。
そんな様子を不思議に思っていると、ながーい開会式がやっと終わった。
手元にある試合表を確認すると、早速一試合目に高尾晴海の名前がある。
試合はトーナメント方式で、何度か勝ち抜いた上位2名が県大会に出場できるらしい。
ちなみに今日は個人戦で、明日が団体戦らしい。
会場内で関係者たちがバタバタと試合の準備をし始める。
「俺らはあっちの方で観れるってさ」
千秋が指差した方へ移動し、試合の開始を待つ。
僕らは試合を控える選手たちの後ろ、少し離れた場所だが問題なく見える位置だ。
しばらく待っていると、重そうな防具を付けた晴海が登場してきた。
相手は晴海と同じくらいの背丈だが、筋肉と脂肪が蓄えられたズッシリ体型で、なかなか手強そうだ。
互いに礼をして前に進み、蹲踞をして竹刀を構える。
一つ一つの所作が綺麗で、思わず見惚れてしまう。
「始め!」
審判の合図と共に拍手が鳴り響き、遂に第1戦が始まった。
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