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第18話 帰ろう
晴海がやっとこっちを向いてくれた。
瞳が大きくなってゆらゆら揺れている。
その瞳に僕の顔が反射していて、あたたかい気持ちになる。
少しの沈黙の後、
「…いひゃい」
「ふふ、ごめん」
照れ臭そうに言うから、思わず笑ってしまった。
バツが悪そうな顔で話し出す。
「なんで怒らないの?」
「怒るわけないよ、戻ってきてくれたもん。むしろ嬉しい」
別に気を遣って言ったわけじゃない。
再会してから初めて本音を見せてくれた気がした、弱音を吐いてくれた気がしたから。
僕の気持ちがほんのちょっとでも届いたみたいで、嬉しかった。
ヒーローだった晴海は、思ったよりも等身大の男の子だった。
幻滅はしなかった、なんだか愛おしく感じた。
「そういえばずっと気になってたんだけどさ。
その憧れの人って誰なの?」
「…まだ、教えてあげない」
晴海が僕のおでこをツンっとつつきながら、歯を出して無邪気に笑う。
呆気に取られて、目をぱちくりとする。
幸せだ、また昔みたいに笑ってくれた。
この笑顔をずっと見たかった。
嬉しすぎて、胸がいっぱいだ。
「色々、ありがとう。
俺、明日の団体戦は今日以上に頑張れそう。
今ならなんでもできる気がするんだ。だからさ…」
「明日も応援しに来てくれる?
改めて、俺から誘いたいんだ。風宮に見てほしい」
晴海の顔からは覚悟を感じた。
全部受け入れて、前に進む。そんな覚悟を。
晴海が唾を飲み込んで、僕の顔色を伺う。
答えなんて分かりきっていた。
晴海、感謝を言いたいのは僕の方だ。
君の心の中に少しでも僕を入れてくれてありがとう。
滲みそうになる涙をグッと堪えて言う。
「もちろん!」
「で、俺もそろそろ輪に入ってもいいですかぁ〜?」
「うわっびっくりした!」
千秋が何やら不貞腐れた声色で、僕の後ろに立ち、肩に顎を乗せる。
完全に2人だけの世界に入ってた…。
ちょっとだけ恥ずかしい。
「うわって…ひでぇな」
「ご、ごめんってば」
「…千秋もありがとう。
酷いこと言ってごめん、どうかしてた」
晴海が頭を下げると、千秋が頭を掻きながら照れ臭そうに話す。
「ハァ〜…本心じゃないって分かってたからいいよ
それで〜?他には〜?」
「うん。千秋にも明日、改めて応援しに来てほしい。」
「わかりゃ、いいんだよ」
千秋が鼻をスンっと鳴らして右拳を突き出すと、晴海もそれに応じて拳同士を合わせる。
「…よしっ、そうと決まれば、とっとと帰ってとっとと寝るぞ!明日は今日の100倍の熱量で応援してやるからな!」
「そうだね。帰ろう、3人で」
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