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第19話 リベンジ

ついに、夜が明けた。 短いようで、なんだか寝付けない長い夜でもあった。 今日は団体戦の予選だ。 個人戦と違って、優勝した高校だけが県大会に出場できる。 去年、晴海の通う西高校は名望学園に決勝戦で負けた。 名望学園を打ち破れば悲願の県大会出場となる。 そして、リベンジマッチとなるのはチーム全体だけではない。 大将戦は晴海と九条司の一騎打ちで、晴海にとっては個人的な雪辱を果たすチャンスでもあり、チームを優勝へと導くのに避けられない戦いでもあった。 とにかくまずは、決勝戦まで勝ち残らないと。 第一試合を控える晴海の元へ、千秋と共に駆け寄る。 「頑張ってね、晴海ならきっと大丈夫」 「名学相手じゃないからって油断すんなよ」 緊張でドキドキしながら慌てる僕ら2人とは裏腹に、晴海が余裕そうな顔でフッ、と笑う。 「俺のチームをあまり舐めんなよ」 そう言って試合コーナーへとスタスタと歩き去る。 しばらくして、先鋒戦の試合が開始される。 晴海を含んだ試合を控える選手4名は、試合場のすぐ側で正座をしながら、先鋒選手の試合を見ている。 僕と千秋は、昨日と同様にその様子を少し遠くの場所から見守っている。 静まり返った会場内の中、千秋がコソコソと話し出す。 「団体戦って、先鋒・次鋒・中堅・副将・大将の5回勝負なんだよな?」 「そう、基本的にはね。勝者数が多いチームの勝ち。勝者数が同じ場合は、より多くの本数を取ったチームの勝ち。…ネット知識だけど」 「てことはよ、中堅まで全勝すれば最短で勝負が決まるってことだよな?」 「そうなるね。でもそんなこと中々ないんじゃ…」 「…いや、ありそうだぜ」 見てみろ。と千秋が指差した瞬間、晴海側の先鋒選手が一本を勝ち取る。 続く二本目も余裕で勝ち取り、次鋒戦、中堅戦…。 あっという間に3勝してしまった。 晴海が言っていたのはこう言うことか。 いくらなんでも、全員強すぎる…。 「ま、そりゃそうだよな〜。 名学、つーか九条が異常なだけで、俺らの高校も一応スポーツ強いんだわ」 「なんで千秋が得意げなの?」 フフン、とでも言いそうなくらい鼻を高くしながら言うから思わずツッコミを入れてしまう。 そんなこんなで、光のスピードで第一試合が終わってしまった。 5対0の全員二本勝ち、圧倒的な勝利を収めて幸先の良いスタートを切った。 その後も、晴海のチームはヒヤヒヤする場面が全くないくらい順調に、着実に優勝へと歩みを進めた。 そして、それは名望学園も。 ついに両校の決勝戦進出が決まった。 決勝戦は午後から、その前にお昼休憩で腹ごしらえだ。 「やったね!晴海。ついにだね」 「中々やるなぁ〜、大将」 「当たり前だよ、俺らのチームが簡単に負けるわけがない。…本当の勝負はここから」 「…うん、そうだね。」 不意に晴海が真剣な顔つきになる。 「緊張してる?」 「どうだろう。してないって言ったら嘘になる。 でもそれ以上に…ワクワクしてるんだ」 「え?」 「怖かったんだ、今までは。負けたら全部が無駄になる感覚がしてた。それに、団体戦は俺の勝ち負けがチームに影響を与える。俺のせいでみんなにも迷惑をかけたらどうしようって…」 「でも、もう怖くない。勝ち負け以上に大切なことを思い出したから」 憑き物が取れたようなスッキリした表情だ。 晴海はもう、大丈夫だ。 千秋と2人で晴海の肩を叩く。 「晴海らしく、戦ってきて!」

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