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第3話 下着じゃなくて俺
ねぇ、聞いて?
俺の彼氏。
最近、ちょっと気づいてきたことがあるんだ。
冬馬って、俺が思ってたよりずっと。
俺のこと好きなのかもしれない。
いや、付き合ってるんだから好きなのは知ってるよ?
でも、なんていうか。
俺がいると安心するとか。
離れてると、思った以上に寂しいとか。
そういうの。
本人は絶対、素直に言わないんだけどさ。
こないだなんか……
****
部屋に入ったら、冬馬が俺の使った下着を顔に押し当て。
何度も深く息を吸ってるところだった。
最初は何してるのか一瞬分からなかった。
でも、片手で自分の勃起ちんぽを激しく扱いて。
鼻を埋めて貪るように匂いを吸い込んでいる。
何度も。
深く。
それで名前を呼んだら、
「……っ」
って、ものすごい勢いで振り返った。
耳まで真っ赤。
慌てて下着を隠そうとする。
遅いよね。
下半身を見れば、前だけじゃなく。
後ろもくぱくぱと開いて、とろとろに濡れて準備万端だった。
熱い蜜が太ももを伝って光っている。
「冬馬」
って呼んだら、
「……見るな」
って。
「見ちゃった」
「忘れろ」
「無理じゃない?」
そう言ったら、ものすごい顔で睨まれた。
でも逃げない。
俺が近づいても、その場から動かないんだ。
だから冬馬の手から下着を取って、
「そんなに俺の匂い、好きなの?」
って聞いてみた。
そしたら、
「……知らない」
って。
またそれ。
俺にも分かってきた。
冬馬の「知らない」は、本当に知らないわけじゃない。
言いたくないときの「知らない」だ。
だからそれ以上からかわずに、頬に触れた。
冬馬の身体が、少しだけ揺れる。
俺が近づくほど。
呼吸も浅くなっていく。
指をゆっくり入れる。
それだけで、奥が何度もきゅっとなる。
すでにほぐれた内壁が熱く絡みつく。
指を根元まで飲み込んでいく。
いつものように触れてやる。
すると。
さっきまで隠そうとしていたくせに。
今度は逃げない。
むしろ、自分から俺の胸にくっついてきた。
「そんなに好きなんだ」
って言ったら、
「……うるさい」
「俺の匂い」
「うるさい」
「冬馬」
「……うるさいって」
でも、掴んでる手は強くなる。
可愛いよね。
「匂いだけで、こんなになるんだ。こんなに濡れてるのか」
って耳元で低く囁いてやったら、もう目が潤んでる。
前立腺を優しく刺激するだけ。
でも、イキそうな甘い声を漏らして腰を跳ねさせる。
最初は、ただの好みなのかなって思った。
俺の匂いが好きとか。
そういうのって、まあ、あるじゃん。
でも。
そこでふと思い出したんだ。
この前、俺が仕事で二晩いなかったとき。
帰ってきた朝、冬馬が俺のシャツを抱えたまま寝てたこと。
あのときは、
「何してんの」
って笑ったら、
「たまたま」
って言ってた。
でも冬馬、あの日ちょっと寝不足っぽかったんだよね。
いつもより目の下に影があった。
だから今度は、からかわずに聞いてみた。
「……俺がいないとき、これで落ち着いてた?」
冬馬の身体がぴくっと止まった。
「冬馬?」
答えない。
俺の服を掴んだまま、俯いてる。
「これで落ち着いてたの?」
そう聞いたら。
ほんの少しだけ、首を横に振った。
「違う?」
また沈黙。
でも、下着を返そうとしたら、
冬馬の手が伸びてきた。
俺じゃなくて、下着のほうへ。
それを見た瞬間。
なんとなく分かった。
ああ。
こいつ、寂しかったんだ。
でも、
「寂しかった」
なんて絶対言えないんだ。
欲しいって言うのだって。
あれだけ恥ずかしがる冬馬だもんな。
寂しいなんて、もっと無理なんだと思う。
だから俺は、下着じゃなくて冬馬本人を抱き寄せた。
「じゃあ今日は、こっちでいい?」
そう言ったら、
「……何が」
って。
「下着じゃなくて、俺」
「だったら、もっと近くで覚えさせてやる。俺の匂いで満たしてやる」
硬く熱を帯びたちんぽ。
十分ほぐれてるのを確かめて、そのまま深く入れる。
入った途端、中がぎゅっと締まった。
腰を激しく振り始める。
冬馬はしばらく黙って。
それから俺の胸に顔を押しつけた。
「……最初からそうしろ」
って。
「寂しかった?」
「言わない」
「そっか」
「……聞くな」
「分かった」
そのまま背中を撫でた。
いつもより、少し長く。
冬馬も離れなかった。
むしろ、俺が少し身体を動かすたび。
追いかけるみたいにくっついてくる。
深く突かれ、前立腺を抉られるたび。
甘い喘ぎを漏らして身体を震わせる。
あとはもう、俺の肩にしがみついたまま。
何度名前を呼んでも離れようとしない。
だからその日は、急がなかった。
冬馬が欲しがるだけ触れて。
欲しがるだけ近くにいて。
いつもみたいに。
強がる余裕がなくなるまで。
ずっと抱いてた。
奥で脈打つちんぽから。
熱い精液をどっぷりと注ぎ込み。
白濁が溢れ出して太ももを伝う。
しばらくして。
冬馬は俺の胸に顔を埋めたまま。
すっかり力が抜けてる。
髪を撫でてやったら、ようやく顔を上げる。
とろんとした目で俺を見て。
精液が溢れ続けるのも構わず、満足げに微笑みながら、
「……幸せ」
って笑ったんだ。
俺、その顔見て、ちょっと固まった。
だって冬馬が、そんなこと言うと思わなかったから。
「幸せ?」
って聞き返したら、
「……聞き返すな」
って、また顔を隠された。
でも。
もう分かった。
冬馬が好きなのは、ただ俺の匂いなんじゃない。
俺の下着でもない。
たぶん、俺がそこにいること自体なんだ。
俺の声とか。
体温とか。
匂いとか。
触れ方とか。
そういうの全部ひっくるめて。
近くにあると安心するんだと思う。
なんかさ。
それに気づいたら、嬉しくなっちゃった。
重いとか、変わってるとか。
そういうんじゃなくて。
俺がいない夜に、俺の匂いが染みたもので。
少しでも落ち着こうとしてたんだって思ったら。
可愛いじゃん。
それに。
そんなことまで俺に見つかって。
恥ずかしくて仕方ないはずなのに。
最後には俺の腕の中で、
「幸せ」
って言ってくれた。
また一つ、冬馬のこと知った。
こいつ、俺が思ってたよりずっと。
俺のこと好きなんだ。
……それ知れたの、俺はかなり嬉しかった。
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