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第5話 お前となら

ねぇ、聞いて? 俺の彼氏。 冬馬、最近ちょっと変わってきたんだ。 前までは、自分が何をしてほしいのかなんて。 絶対まともに言わなかったのに。 今は、ものすごく遠回しだけど。 少しずつ、 「こういうの、ちょっと興味ある」 って言えるようになってきた。 この前なんか、ローターの話をしてきてさ。 顔を真っ赤にしながら、 「……別に欲しいとかじゃないけど」 って前置きして。 「ちょっとだけ、気になる」 って。 それ、ほとんど欲しいって言ってるよね。 だから買ってあげたら。 一瞬だけ、すごく嬉しそうな顔したんだ。 すぐ澄ました顔に戻ったけど。 可愛いよね。 で、こないだなんかさ…… **** その日は、二人で夜の屋上にいた。 俺の住んでるところ。 誰かが急に入ってくるような場所じゃないけど。 ただ。 外だから、風の音がする。 街の明かりも見える。 室内とはちょっと違う。 その感じが、冬馬には少し緊張するみたいだった。 フェンスの近くに立たせ。 両手をまとめて軽く固定したら、 「……本当にここでやるの?」 って聞いてくる。 「嫌だった?」 そう聞いたら。 冬馬はすぐには答えなかった。 夜風に髪を揺らしながら、しばらく黙って。 それから、 「……嫌じゃない」 って。 「怖い?」 「少し」 ちゃんと言った。 それだけで、俺はちょっと嬉しかった。 前の冬馬だったら、たぶん、 「別に」 で終わってたから。 だから後ろから抱き寄せた。 服はきちんと着てるのに。 ズボンと下着だけを下ろして。 下半身を冷たい夜風に晒す。 入り口がすぐにきゅっと収縮して。 敏感に反応する。 「じゃあ、怖くなったら言って」 って言うと。 冬馬は少しだけ振り返って、 「……分かった」 って頷いた。 ローターをまずは浅いところまで入れる。 それから、一番弱くして動かしてみた。 冬馬の様子を見ながら。 少し刺激が伝わっただけ。 一瞬、身体に力が入った。 奥が何度かきゅっとなって。 入れたものまで強く挟んでくる。 「どう?」 って聞くと、 「……変な感じ」 「嫌?」 「嫌じゃない」 「じゃあ続ける?」 また少し黙って。 それから、小さく頷く。 ほんと。 前よりちゃんと言ってくれるようになった。 だから少しずつ。 冬馬が平気そうな範囲で強くしていく。 振動を強める。 少し奥へ当てる。 その瞬間。 「……待って」 って声が出た。 俺はすぐ手を止めた。 「怖くなった?」 冬馬は目元を少し潤ませながら、 「……ちょっと」 って。 「やめる?」 そう聞いたら。 冬馬は首を横に振った。 それから俺のほうへ身体を預けてきた。 「……このまま、近くにいて」 って。 その言葉に、俺のほうがちょっとやられた。 だから後ろからしっかり抱いた。 「いるよ」 って言ったら。 冬馬の肩から、少し力が抜けた。 それからもう一度、ゆっくり試してみた。 「や……待って……」 って言いながら、声はもう甘くなってる。 「怖い?」 って聞いたら、涙目のまま頷いて。 少ししてから、 「……でも、気持ちいい……」 って。 怖いのと気持ちいいのが一緒に来てるみたいで。 脚が少し震えてる。 目元も潤んでた。 冬馬はまだ緊張してる。 でも。 さっきみたいに、一人で耐えようとはしない。 苦しくなると俺の手を掴む。 落ち着いてくると、また背中をくっつけてくる。 少し苦しくなると、 「待って」 って言ったり。 逆に平気になってくると、 「……もう少し」 って言ったり。 なんかさ。 すごく嬉しかった。 刺激に反応してるからじゃなくて。 冬馬が、 今どう感じてるか。 何が怖いか。 どこまでなら大丈夫か。 そういうのを、ちゃんと俺に渡してくれてることが。 前は全部隠してたのに。 今は少しずつ、 これなら大丈夫。 これはちょっと怖い。 でも、もう少しやってみたい。 って教えてくれる。 小さな振動をやめてローターを抜く。 今度は俺自身のモノを取り出し。 ほぐれた入り口へ。 急がず、少しずつ入れていく。 さっきまで冷えてた身体に。 今度は熱を教えるみたいに。 動くたびフェンスがかすかに鳴る。 その音が聞こえるたび。 冬馬は声を飲み込もうとするんだけど。 だんだん腰の動きを速くすると。 冬馬の声も少しずつ増えていった。 そのまま、俺たちはしばらく二人で過ごした。 冷たい夜風の中で。 怖くなったら抱きしめて。 落ち着いたらまた少し進んで。 冬馬が俺を呼んだら、そのたびちゃんと返事をして。 最後には。 奥でびくびくと脈打つちんぽから。 熱い精液をどっぷりと注ぎ込む。 身体から力が抜けて、 「あ……熱い……」 って、俺にもたれかかってくる。 白濁が溢れ、足元にぽたぽたと落ちていく。 冬馬はそのまま俺に寄りかかってた。 まだ少し息は荒い。 でも、さっきみたいな緊張はもうなかった。 まだ目元は少し潤んでるのに。 なんか、すごく満足そうな顔してる。 「大丈夫?」 って聞いたら、 「……うん」 って。 「怖かった?」 「少し」 「もうやりたくない?」 そう聞いたら。 冬馬、しばらく考えて。 それから、 「……またなら」 って言った。 「また?」 「お前となら」 俺、聞き返しそうになった。 でも。 そこでもう一回聞いたら、たぶん言わなくなる気がして。 黙って抱きしめた。 そしたら冬馬のほうから、小さな声で続けた。 「……お前なら、大丈夫だと思った」 その言葉のほうが。 正直、全部より嬉しかった。 怖くてもいい。 迷ってもいい。 興味があっても、途中でやめたくなってもいい。 その全部を、俺に言っていいって思ってくれてる。 冬馬は、 「少し怖いことを試したい」 だけじゃなかったんだと思う。 俺となら。 知らない自分を、もう少し見てみてもいい。 そう思ってくれたんだ。 また一つ、冬馬のことを知った。 こいつは、俺に全部任せたいんじゃない。 怖いって言えるくらい、俺を信じてくれてるんだ。 ……それが、たまらなく嬉しかった。

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