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第7話 欲しがりすぎるの
ねぇ、聞いて?
俺の彼氏。
冬馬ってさ。
思ってたより、かなり欲が強いみたいなんだ。
いや、それ自体は全然いいんだけど。
問題は本人が、それをものすごく恥ずかしがってること。
俺にまで、
こんな自分見せたら引かれるかも、
って思ってたみたいでさ。
それ知ったとき、ちょっと寂しかった。
俺、そんなことで冬馬を嫌いになったりしないのに。
こないだなんか……
****
部屋に入ったら。
冬馬がベッドの上で、一人で何かしてたんだ。
俺に気づいた瞬間、
「……っ!」
って身体を跳ねさせて。
ものすごい勢いで顔を隠した。
「冬馬?」
「見るな」
「もう見たけど」
「忘れろ」
無理だよね。
だって、冬馬の後ろ。
さっきまで自分で使っていたディルドが、まだ半分入ったまま。
周りもすっかり濡れてる。
何してたかなんて、だいたい分かる。
でも。
俺が驚いたのは、そこじゃなかった。
冬馬の顔。
本気で恥ずかしそうだったんだ。
いつもの、
見られた、恥ずかしい。
って感じより。
もっと、
知られたくなかった。
みたいな顔。
だから俺も、からかうのをやめた。
「待てなかった?」
って、なるべく普通に聞いた。
冬馬は答えない。
顔を隠したままなのに。
腰だけは止まらない。
入ったままのディルドを、自分で浅く動かしてる。
しばらくして。
指の隙間から俺を見て、
「……もう、準備してるから」
って。
「うん」
「……だから」
そこから先が言えない。
でも。
前なら、そこで黙って終わってたと思う。
冬馬は何度か息を整えて。
それから、ものすごく小さな声で、
「……早く、こっち来て。もう入れてるから……お前のも……入れて……」
って言った。
小さい声だったけど。
ちゃんと俺に言った。
だから近づいた。
急がずに。
ディルドで塞がった冬馬の入り口。
その周りを優しく撫でると。
俺のを招き入れようとくぱっと開く。
「いっしょに?」
「……そう、早く」
入ったままのディルドを少し奥へ押す。
その横に、俺もゆっくり入っていく。
冬馬の背中を撫でたら、すぐ俺の服を掴んでくる。
「遅い」
って。
「さっきまで隠れてた人が言う?」
「うるさい」
「はいはい」
それでも手は離れない。
むしろ、俺が近くに来た途端。
さっきまで一人で何とかしてたくせに。
急に安心したみたいに身体を預けてきた。
そのまま少しずつ距離をなくしていくと。
ディルドが埋まったままなのに。
さらにちんぽもゆっくりと収まった。
二輪差し。
冬馬のお腹の中は、もういっぱいだ。
ところが途中で。
冬馬の腰がぴたりと止まった。
「……待って」
「嫌だった?」
って聞いたら、ぶんぶん首を振る。
「違う」
って。
目まで潤んでる。
それで、俺の肩を掴みながら、
「動かないで……動かれたら……もう無理……イっちゃう……」
って泣きながら言う。
「なんで?」
って聞くと、
「今、動かれたら……もう無理」
って。
中がきつく締め付ける。
ディルドとちんぽを同時に絞ってくる。
ほんの少し腰を動かしただけ。
それでも冬馬の腰が何度も跳ねる。
「もう無理」って言いながら、声も止められなくなってた。
俺、そこでちょっと思ったんだ。
冬馬が欲しかったのって。
一人で満足することじゃなかったのかもしれない。
待ってる間、どうしていいか分からなくて。
でも俺に、
早く来て。
なんて言うのも恥ずかしくて。
だから一人でごまかしてたのかなって。
「冬馬」
「……何」
「俺が帰るの待ってた?」
冬馬の動きが止まった。
「……知らない」
出た。
冬馬の、
言いたくないときの「知らない」。
「そっか」
それ以上は聞かなかった。
ただ、抱き寄せた。
すると冬馬のほうから、ぎゅっと服を掴んでくる。
しばらくそうしてたら。
冬馬が俺の肩に顔を押しつけたまま、
「……もう少し」
って。
「うん」
「……ゆっくり」
「分かった」
まえから思ってたけど。
こういうところ、冬馬は本当に変わった。
待って。
ゆっくり。
もっと。
ちゃんと自分から言える。
だから俺も、それに合わせた。
冬馬が落ち着くまで待って。
大丈夫そうなら少し進んで。
また余裕がなくなったら止まる。
そのたび冬馬は、
「待って」
とか、
「もういい」
とか。
小さい声だけど、ちゃんと教えてくれた。
まずは小さく腰を動かす。
一度。
また一度。
それだけで冬馬の声が上がった。
身体が大きく跳ねる。
そこから少しずつ続けると。
冬馬は何度も限界を迎えてた。
****
冬馬は俺にくっついたまま、すっかり力が抜けてた。
でも。
俺、どうしても気になって。
「冬馬」
って呼んだ。
「……何」
「こういうこと、一人でも結構するの?」
その瞬間。
また身体が固まった。
しまった。
聞き方間違えたかな、と思った。
「ごめん。責めてないよ」
って言ったら。
冬馬はしばらく黙って。
それから、
「……する」
って答えた。
「そっか」
「……引いた?」
その一言。
俺、かなりびっくりした。
冬馬がそんな心配してたなんて思わなかったから。
「何で?」
「だって……」
冬馬は俺を見ない。
「こんなの、普通じゃないだろ」
「何が?」
「……欲しがりすぎるの」
ようやく分かった。
冬馬は、一人でしてたことを隠したかったんじゃない。
欲が強い自分そのものを。
俺に知られるのが怖かったんだ。
そんな冬馬を見たら。
なんか。
笑うとか、引くとか。
そういう気持ちには全然ならなかった。
むしろ。
今までずっと一人で隠してたんだなって思った。
「冬馬」
「……何」
「別に、それで嫌いにならないよ」
冬馬が、少しだけこっちを見た。
「ほんとに?」
「うん」
「……気持ち悪くない?」
「全然」
俺は冬馬の髪を撫でた。
「むしろ、教えてくれたらいいのに」
「無理」
即答だった。
「なんで」
「恥ずかしいから」
「じゃあ、見つけるしかないな」
そう言ったら。
冬馬がちょっとだけ笑った。
ほんの少し。
でも。
安心した顔だった。
それで俺、続けた。
「でも次から、隠れなくていいよ」
冬馬は黙った。
「待てないなら待てないって言って」
「……無理」
「早く帰ってきて、でもいいし」
「絶対無理」
「一緒にしたい、でも」
「言うわけないだろ」
「じゃあ俺が聞く」
「……バカ」
言いながら。
冬馬は俺の胸に顔を押しつけた。
でも今度は。
恥ずかしくて隠してるだけじゃなくて。
ちょっと安心して甘えてるのが分かった。
また一つ。
冬馬のことを知った。
こいつは、俺が思ってたよりずっと欲張りで。
そのことを知られるのが、ずっと怖かった。
でも。
別にいいじゃん。
欲が強くても。
変わったことに興味があっても。
一人で楽しむことがあっても。
二本いっぺんに欲しくなっても。
それも冬馬なんだから。
むしろ俺は。
俺の知らなかった冬馬がまだいたことのほうが嬉しい。
たぶん、これからも出てくるんだと思う。
冬馬が、
こんなの見せたら嫌われるかも、
って隠してるところ。
でもさ。
そういうの見つけるたびに。
俺、たぶんまた好きになるんだよね。
……だから次は。
もう少し早く教えてほしいんだけどな。
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