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白熱する選挙戦に、この想いを込めて――⑭

***  克巳さんとは会議が終わってから、話をちょっとだけして終わってしまった。 『これからのことを二階堂と話してくるから、先に帰ってていいよ。お疲れ……』 「稜?」 『何? 相田さん』 「慣れないことをしたから、疲れているんじゃないかと思って……」  言いながら、右手を俺に差し出しかけたのに、慌てて戻す姿を見て、触れて欲しいという言葉を飲み込むのが、どんなに辛かったか。  事務所の若い女のコと喋ってる暇があるなら、俺だけを見ていて欲しかったなんていうワガママも一緒に、心の中で渦巻いてしまって―― (きっと今、酷い顔をしているのかもしれないな)  だから疲れているんじゃないかって、克巳さんに指摘されちゃったんだ。得意のポーカーフェイスが崩れるって、どんだけメンタルが弱っているんだろう。  一旦、両目を閉じて深呼吸を数回。落ち着いたところを見計らって目を開き、克巳さんを見上げた。 「まあね、ちょっとだけ疲れているかも。でも今から疲れていたら、最後まで持たなくなっても困るし、話が終わったらすぐに帰ることにするよ。じゃあね」  にっこりと微笑み、踵を返して二階堂のところに向かう。一刻も早く、克巳さんの視界から消えなきゃ。これ以上、心配かけさせたくない。  俺のことを一番愛しているというのに、要らない嫉妬をした醜い心を、見せたくはないと思った。

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