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白熱する選挙戦に、この想いを込めて――⑳

「ねぇお願い……昨日の夜よりも激しく、俺を抱いてよ」  いつもより傍にいられなかった分、俺を独占してほしいんだ―― 「駄目だ。選挙が終わるまで、絶対に君とは姦通しないつもりだから」  おいおい、姦通ってその言い方は―― 「確かに、俺の性欲を満たす行為になるかもだけどさ、元気のない克巳さんを俺の手で、気持ちよくしてあげたいなって、実は思ってるんだけど」  克巳さんに乱された俺の服、そしてこの気持ちをどうすればいい? 「元気だよ、俺は」 「分かってるんだからね。空元気だっていうのが」 「何を言ってるんだ、すごく元気だろ。ほら」  意味深な笑みを口元に湛えたと思ったら、スラックスの膨らみをここぞとばかりに、俺自身にごしごしと擦りつけてきた。 「ちょっ、笑えない冗談言わないでよ。躰じゃなくてっ……ぁあっ、も、心が……ぅあぁっ……やっ」  本当にヤバい。最初の刺激を我慢した後だから、布越しだというのに今の刺激で、感じまくってしまうじゃないか。 「伝わった? すごく元気だっていうのが」 「わかっ、分かった、ってば……そ、れ以上はっ……ひいっ、いいっ、イっちゃ……っ!!」  容赦のない克巳さんの腰の動きに、我慢の限界がきた俺は、呆気なく中でイってしまって―― 「……稜、いい機会だから、早漏を克服したらどうだろう?」  下着の中の不快感に顔を歪ませている俺へ、信じられない言葉が告げられてしまった――何で今? どうしてこのタイミングで、それを言ったんだろ。早くたって、全然支障はなかったはずなのに。もしかして、ずっと我慢していたとか!?

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