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Day1-3
職場を出たのは19時を回った頃。どうやら今日は俺が最後らしい。
定時である17時半には仕事を終わらせていることがほとんどだが、今日は新規患者の対応や退院時の書類作成などやることが山積みだった。
いつもの癖で連絡アプリを開き、一番上にピン留めしてあった元恋人とのトーク画面を開く。
“あぁ、もう連絡する必要もないのか”
彼とのトークを非表示にして、スマホをジーンズのポケットに仕舞った。
最後に会ったのは、つい三日前のことだった。普段通りだと思っていたのは自分だけで、彼からしてみればその時から決心していたのかもしれない。
他人の目は気にするくせに、人の気持ちには鈍感な自分が嫌になる。
「‥ダメだな」
上手くいかないことがあると、気持ちまでダメな方に引っ張られてしまう。
肌にまとわりような六月の空気が、やけに気持ち悪く感じられた。
*
帰宅したらすぐにシャワーを浴びて、一日の汗を流すのが俺の習慣だ。
一息つく暇もなくスキンケアや歯磨きを済ませ、出かける準備をし始める。
一人物静かな部屋でじっとしていると、ネガティブなことばかり考えてしまいそうで、とにかく体を動かしていたかった。
“ナイトクラブなんて、何年ぶりだろ‥”
香水はこういう時にしか付けることがないため、最後に新調した二年前からほとんど減っていない。
腰にワンプッシュだけ付けるやり方が、志乃は気に入っていた。
付けたてはベルガモットが爽やかに香り、時間が経つとウッドのスモーキーさが優しく広がる。
数年前_まだ遊んでいた頃に気に入って付けていたもので、まるで当時に戻ったような気分になった。
ワックスで軽く髪をセットして、洗面所の電気を消した。
「まぁ‥これでいいか」
好きなブランドのTシャツ。太めのスラックスに、シンプルな黒のスニーカーを合わせる。
アクセサリーは無くすのが怖いので、着けるのはやめにした。
今から家を出れば、混み合う前には到着するだろう。
ブルートゥースのイヤホンを耳にはめ、自宅を後にした。
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