20 / 45

Day2-9*

「っ‥ふぅ、‥ぅ‥」 下着の中で、自身の性器が切なく疼くのを感じる。 与えられている快感と精神的な興奮によって、疾(と)うに我慢の限界に達しているが、想像の中の珠希はそれを許してはくれなかった。 “もっとゆっくり‥焦らされるのが好きなんでしょう?” まるで自分を慰めている姿を、彼に眺められているような感覚に、顔が熱くなっていく。 下着の上から摩るように手を上下させると、もどかしくもじわじわと快楽の波が押し寄せた。 「もう‥、だめだっ‥」 達するには物足りない刺激に喘ぎながら、情けない声でそう呟く。 腰を浮かせるようにして可能な限りの快感を得ようとする自分の姿は、さぞかし滑稽なことだろうと思った。 “まだ。我慢してください” きっぱりと言い放った脳内の声。彼の悪戯な笑みが目の裏に浮かんでくるようだった。 自分が望むままの台詞(せりふ)を口にする珠希は、さらに志乃の羞恥心を煽ってくる。 “こんなにシミになって‥。ほらまた溢れてきましたよ” 現実でもきっと、こんなふうに辱(はずかし)めてくれるのではないかという淡い期待を胸に、妄想の世界へと溺れていく。 彼の白く骨張った指が、自身の膨らみの上を這うところを想像しただけで、とろりとした液体が溢れ出てくるのが分かった。 「ぁ‥、っ‥珠希く‥ん」 頬に触れ、腰を抱き、そして口内を犯した男の手。 そんな珠希の手つきを思い出しながら、人差し指でゆっくりと自身の先端を弄(いじ)る。やけに冷たいあの感触が頭から離れない。 濃紺のボクサーパンツの一部はすでに色が変わるほど濡れそぼっている。普段なら不快に感じるであろうその感触も、今ではただの興奮材料に過ぎない。 緩やかに与えられていた刺激であったが、徐々に射精への感覚を意識できるほどになっていた。 “どうやって触れられていたのか、よく思い出してください” 彼の声に従い、Tシャツを捲し上げていた左手を口元へと運んでいくと、昨晩の記憶が鮮明に蘇ってくる。 彼がそうしていたように、親指と中指で顎を押さえ、唇をなぞった。なるべく優しく、彼の指の感触に近づけるように。 「ん‥ぅ、‥っ」 少しだけ開いた唇の隙間から、おずおずと指先を入れていく。 口腔内は思っていたよりもずっと熱く、喉の奥まで指を進めていくのには少しの恐怖心があった。 “もっと奥まで入れないと、気持ちよくなれないでしょ?” 舌の中央を過ぎたあたりから、途端に異物感が強くなっていく。口内に溜まった唾液を飲み込むと、上顎と舌の間に指が挟まれ、思わず嘔吐(えず)いてしまいそうになる。 目尻に涙が浮いてくるのを感じながらも、与えられる“苦しさ”に志乃の身体は歓喜していた。 “こんなのが気持ちいいなんて‥” ダメだ。それ以上、言わないでくれ_。 願いも虚しく、頭の中の珠希は侮蔑(ぶべつ)の目を向けて口を開いた。 “変態、ですね” 脳内に響き渡る彼の声と、喉の奥まで突っ込んだ指に、目の前が真っ白になる。 下着の上に置かれた右手からは、ドクドクと脈打つ性器の感触が伝わってきて、この時ようやく自分が射精したことに気がついた。 ゆっくりと目を開けて、現実へと戻る。 体液でぐっしょりと濡れた下着。唾液がまとわりついた左手。普通なら不快に感じられるであろう事も、不思議と今は嫌な気はしなかった。 これまでも苦痛を感じるように自慰をしたことは何度かある。しかし、実際に虐められる側を経験したことのない志乃にとって、そのレパートリーはごく限られたものだった。 今回の“プレイ”についても、昨晩の出来事がなければ思いつきもしなかっただろう。 「はぁ‥」 こんな如何わしい妄想に珠希を利用してしまったことを、今頃になって後悔していた。 きっと次に会った時は、まともに顔を見ることもできないだろう_。

ともだちにシェアしよう!