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Day3-4

「志乃ちゃん、最近調子どうなの?」 23時過ぎ_少しずつ人が増えてくるこの時間に、志乃は常連客の日高(ひだか)と共にバーカウンターに並んでいた。 「調子って‥そっちの?」 「当たり前じゃない」 「そう‥だな。ぼちぼちですかね」 「前みたいに取っ替え引っ替えするのはやめたの?」 「まぁ‥そんなに若くないですから」 「僕の前でそれ言うのやめてくれる〜?」 日高とはクラブに通い始めた頃からの知り合いだ。正確な年齢は分からないが、志乃よりも少しだけ年上らしい。 界隈では遊び人として有名だが、人当たりが良く、誰とでも仲良くなれるタイプだ。 噂によれば両刀らしいが、残念ながらお互いの好みではないため、そういう関係になったことは一度もない。 「お兄さん、ウォッカ2つお願いします」 彼と乾杯する時は、いつも決まってウォッカを飲んでいた。 どうやらテキーラよりも体との相性が良いらしい。 「じゃあ、久しぶりの再会に‥」 ショットグラスを軽く合わせてから、一気にアルコールを胃に流し込む。 この1時間で3杯のテキーラを飲んでいる志乃は、ほどよく酔いが回ってきていた。 今日はしっかりと食事を済ませてきたため、以前ほど酒が効いている感覚はないが、油断は禁物だ。 クラブの雰囲気に呑まれてしまえば、以前のような醜態を晒しかねない。 「たまにはフロアに音楽浴びにいかない?」 グラスを空にした日高は、そう言って志乃の腕を絡めとる。 ボディタッチは多いが、彼にその気がないためか、いやらしさのようなものは感じられない。 日高に導かれるがままに、フロアの中心部まで歩いて行くと、スピーカーからの音楽が全身に降り注ぐように感じられた。 「月曜なのに‥随分と盛り上がってますね」 周りの音にかき消されないよう、男の耳元に顔を近づけて、言葉を発する。 「なんか有名なDJなんだって。僕も音楽のことについては詳しくないけど‥」 少し高くなっているDJブースの奥には大きなスクリーンがあり、そこには“DJ K”と映し出されていた。 ターンテーブルに置かれた手から腕にかけて、色鮮やかなタトゥーで埋め尽くされている。 彼が華麗なスクラッチで客を沸かせると、そこから人気のクラブミュージックへと繋がり、フロアのボルテージは最高潮となっていった。 時間が経つとともにフロアには次々と人が流れ込み、自由に身動きも取れなくなっていく。 少し不安な表情をした志乃の心情を察したのか、日高は絡めたままの腕に力を入れ、口を開いた。 「無理してここにいなくてもいいからね」 「う‥うん。日高さんも俺のことは気にせずに楽しんでください」 「言われなくたって、もちろんそのつもりよ」 実際、その言葉から一曲分も経たないうちに、彼の右腕は離れていった。 人混みの中、少し離れたところで日高と男が視線を交わせているのが見える。 どうやら今夜は彼に決めたようだ。 あまりの人の多さに、フロアの中心部から出ようと身を捩(よじ)ったその時のことだった。 「っ‥」 自身の腰を這う、手のひらの感触に気がついた。 その手は徐々に臀部へと下りていき、卑猥な手つきで尻たぶを揉みしだいてくる。 慌てて辺りを見渡すが、所狭しと人がいるせいで、一体誰の仕業なのかはわからない。 次第に太ももの裏側を辿っていったその手が、やがて前面へと移動して来るのに時間はかからなかった。

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