27 / 45

Day3-6

スポットライトに照らされた志乃の顔は、耳まで赤く染まっていた。 恥ずかしさのあまり顔を背けようとするが、頬に置いた左手で顎を掴むようにしてそれを阻止する。 潤んだ瞳が落ち着きなく動いているのを見ていると、彼の緊張が伝わってくるかのようだった。 「志乃さん。もう少しだけこうしてていいですか」 自分より幾分か背の高い男の耳元でそう告げると、何も言わずに頷いてくれる。 だらりと垂らした両腕はゆっくりと珠希の背中へと回され、大きな手のひらの温度がじんわりと伝わってきた。 同様に左手を頬から離し、骨張った腸骨から筋肉質な臀部にかけて、身体の構造を確かめるかのように指を這わせる。 指先から伝わってくる感触に、自身の熱も上がってきたようだ。 それすらも堪らないといった様子で、志乃は自身の頭を珠希の肩へと凭(もた)れさせた。 「そんな体で‥どうやって帰るつもりだったの?」 下腹部に触れている熱源は、身体を撫でるたびに素直なまでに反応を示している。 「き、君のせいじゃないか‥」 熱を帯びた息が耳に掛かり、加虐欲が満たされていくのを感じた。 自分の手によってこんなにも乱されている男が、可愛く思えて仕方がない。 「俺‥おかしくなっちゃったのかも」 少しばかり酔っているのか、いつにも増して正直だ。 今にも泣き出しそうな声と、理性を揺さぶる彼の言葉に、思わず口角が上がる。 「あんまり可愛いこと言わないでください」 終電の時間が近づくほどに増えていく客も、毎日のように流れる聴き飽きた音楽も、全てが気にならないほど、志乃とのこの時間が特別なもののように思えた。 「僕も‥これでも必死に我慢してるんです」 どうやら酔いが回っているのは彼だけではないようだ。普段では口にしないような情けない本音が、ぽろりと溢れてしまう。 「‥我慢?」 何のことか分からないといった様子で、肩に乗せた頭をこちらへ向ける。 すぐそこにある志乃の顔を真っ直ぐに見つめながら、おもむろに口を開いた。 「本当は、今すぐにでも志乃さんを抱きたい」 嘘偽りのない、心の奥底からの本音に、男はあからさまに動揺を見せる。 少しばかり引いていた耳の赤みは、先ほどよりもさらに増したようだ。 真っ赤に染まった耳に吸い寄せられるように唇を近づけ、ピアスの痕のないまっさらな耳朶(じだ)を軽く喰む。 背中に回された腕がぴくりと反応するのと同時に、下半身の膨らみも増していくのを感じた。 彼の手首に嵌(は)められたバンドの固さを背中に感じ、思わず笑みが溢れる。 _これのどこが、“青色”だって言うんだ。

ともだちにシェアしよう!