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Day3-7

フロアを出ようと言い出したのは、どちらでもなかったが、目が合った次の瞬間には二人は歩き出していた。 彼の表情は雄弁に我慢の限界であることを語っており、自分自身もまた理性を抑えられなくなっていた。 人混みをかき分けて進みながら、一回り大きい男の手を引く。汗ばんだ手のひらが握り返してくる感覚に、思わず口角が緩んでしまう。 有名なDJが来ているおかげで、平日にも関わらずバーカウンター周辺にまで人が溢れており、幸いにもスタッフに見つかることはなさそうだ。 メインフロアを出て一直線にトイレへと向かう。 まだ深い時間になっていないこともあり、並んでいる人はいない。空いていた一番奥の個室の扉を勢いよく開け、志乃をそこへ押し込んだが、“そういうこと”が度々起きるここでは気に留める人は誰一人いないだろう。 後ろ手に鍵を閉めると、洋式トイレの横に窮屈そうに立っている男は、期待と不安が入り混じったような表情を浮かべた。 「こんなとこで‥?」 どうやらここで抱かれると思っていたらしい。 彼が不安な表情になっていたのも頷ける。 「さすがに最後まではしないですけど‥」 被ったままのフードを下ろしながらそう言い、少し広くなっているドア前へと軽く腕を引いた。 壁に寄りかかるようにして立ち、左腕を脇の下から差し込んで、志乃の身体を後ろから抱きしめるような体勢になる。 「‥“これ”はどうにかしないと、でしょ?」 右手の人差し指でズボンの膨らみを辿ると、腕の中の男が息をのむのが分かった。 フロアで流れている音楽がここまで届くため、多少声のボリュームを落として話をすれば、外に聞こえる心配はないが_。 「あんまり大きい声出しちゃダメですよ」 彼の淫らな声を誰かに聞かれるのは癪だ。 このシチュエーションに興奮しているのか、昂りは依然として硬さを保っていた。 「そう言えば、どうしてあれから連絡くれなかったんですか?ずっと待ってたのに‥」 少しいじけたような声で囁きながら、右手だけでズボンのベルトを外していく。 辿々しい手つきに焦らされていると感じているのか、もどかしいとでも言いたげな視線が手元に降り注いでいる。 ベルトを外し終えると、ようやく男は口を開いた。 「あ‥いや、その‥珠希くんも忙しいかなと思って‥」 「ふぅん‥」 どこか歯切れの悪い彼の言葉に違和感を覚え、ジーンズのボタンにかけた手を止める。 しばらく黙り込んだまま、すぐ横にある志乃の顔を覗き込むと、またしても表情が物語っていた。 「本当のこと言ってくれたら、直接触ってあげます」 普段の彼であれば多少食い下がりそうなものだが、適度のアルコールのおかげか簡単に口を割る。 「珠希くんのことを考えて‥その、一人でシたから‥何か気まずくて‥」 想定内の回答ではあったものの、恥ずかしげにもたもたと話す声や、実際に志乃の言葉を耳にすると、来るものがあった。 余裕ぶっていられるのも、ここまでなのかもしれない。 まさか彼の妄想の中の自分にすら嫉妬するなんて_。

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