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隨ャ蜈ォ隧ア
お互いに飯を食べ終わり、俺持ちでいいからさっさと帰ろうと伝票に手を伸ばしかけたとき、そう問われて俺は固まる。
「え…、っと、なんのことですか?」
すぐに”そんなもの”が何なのかには思い至ったが、俺はとぼけたふりをした。
「普通の人には分からないんですがね、私にはそういった類のものの臭いが分かるんですよ。
最初はとり憑かれているのだと思いましたが…、貴方の様子を見るに好きで飼っているように見えます。どうでしょうか」
「どうって言われても…、俺には何のことだか」
俺がそう言うと、彼はじっと俺の顔を眺める。
「別に勝手に祓うなんてことしませんよ。
金のないお祓い屋さんですから、金銭の発生しない祓魔や除霊はしません」
ならばなぜ、俺の飼っている怪異に興味があるのか。
俺は無言で彼を見る。
彼は困ったように笑うと、おもむろに袈裟の袖を捲る。
そこには、刺青のような模様がびっしりと刻まれていた。
俺はぎょっとしてそれを見た後に、もう一度衙門さんの顔に目をやる。
「これは入れ墨ではありません。
様々な人から祓った…、いや、祓い切れなかった呪いなんかを私に移したものです。
まあ、その呪いで死なないために自分で入れた呪いもありますけどね」
子供のころに遭遇した怪異に執着している自分を以上だと思っていたが…、この男は俺なんかよりもよっぽどイカれてる。
「憑かれて困っている人を助けたいというのは建前です。
本当のところはその憑いているモノ自身に興味がある。
だから、菱本先生に憑いているソレのことを教えてくれませんか?」
なおさら教えるわけがない。
あいつがお前に興味を持ったらどうしてくれるのだ。
「俺は怪異なら何でもいい訳じゃない。
あいつだから飼ったんです。
とても大変でしたよ。
だから、そう簡単には教えません」
俺がそう言い返すと、彼と数秒見つめ合う。
先に目を逸らしたのは衙門だった。
「ふふ、菱本先生は怪異なんかより、怪異に興味を持つ私の方が怖いんですね。
分かりました。
今日のところは諦めます。
まあでも、私はかなりしぶといのでご用心ください」
そう言って彼は、伝票を手にとり立ち上がる。
「あ…」と俺が声を漏らすと「私の方ががめついので、担当さんに請求しておきますよ」と微笑んでレジに向かう。
本当に食えない坊主だ。
これほど呪いに執着している男が、本当に簡単に諦めるとは思えない。
久々に受けた大きな仕事を後悔したのは初めてだった。
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