21 / 33
第21話
人類、動物、惑星、その他諸々。
生まれるには、自然の原理が必要で。
そこのところは、未だに、神秘にされているままだ。
地球がオシャレに見えるように、人は、特に、オシャレに、特化している。
地球が発光しているかのように電気を操り着飾らせて、死者で溢れてしまわないよう火葬を思い立って清掃し、でも、お別れする寂しさを分け合うために宗教を作り出して、人を愛する、と。
しかし、現在、その宗教を広げる為にも争いが行われていて、人々は、宗教自体を疑問視している。
きっと、人々は、誰しもが平和を望んでいる。
『良かったねー』
僕が、幼少期、兄にメダルをかけ、自分の成果を分け与えたにも理由がある。
僕達は、きっと、誰かに愛されたいだけなんだと思う。
「うめ」
十皿は、平らげている。
さっき、昼食を食べたばかりだと言うのに、まだまだ俺と美智留も、これからだと言われているかのような気がする。
誰に。
分からないけど。
「…何で100円で食べれるんだろね」
一皿100円。
主婦だけじゃなく学生にも優しいお値段だ。
思って、つい、そう、呟いてしまう。
そうした訳は、今は、一人じゃないからで…。
「この料金で、うめぇ寿司が食えるなんて、俺らも愛されてんだなー、って、思う」
カウンター席で、また隣同士。
味噌汁を啜りながら、美智留は、そう言う。
「なんか、いつだったっけ。ぺろぺろ事件とかあったよね」
「あー。な。あれは悪ぃわ」
「あんなぐらいじゃ来なくなんてならないけどね」
「まあな。今食ってるしな」
「ね」
やめなさいと言って、やめられたなら、それで良いんだよ。
再熱してしまうことを危惧する必要もあるけどね。
犯罪は、ルール違反は、癖になってしまうんだよ。
一度じゃ済まないだろうなって、理解することも自分を守る為になるはず。
「…んー、」
湯呑みをよく見て、粉末タイプのお茶の注ぎ口を見る。
多分、唾液に濡れた気配は伺えない。
だから、使う。
だから、大丈夫。
そんな感じで、二人分のお茶を注いだ。
「ん。ありがと」
骨ばった色白のでかい手が、その湯呑みを受け取る。
「…、」
美智留は、俺のように気にもしないまま、ごくりと一口、すぐに飲んだようだ。
もっと危機感を持てよ。
なんて、なんか、言うのも躊躇ってしまうぐらい、美智留にも躊躇がなかった。
「……」
「ん?」
「…、いや、綺麗に食べるなぁって」
「俺?そ?」
「もぐもぐマンって呼んで良い?」
「は?何?もぐもぐマン?」
「なんかもぐもぐしてるから」
「…。もぐもぐするだろ普通。じゃなきゃどうやって食うんだよ、おめぇは」
「……。ね」
「何の話だよまじで」
こんなに美味しそうにもぐもぐ、食べる人を間近で見たのは、初めてだ。
そもそも、こういう友達が居なかったって言う理由もあるけど、なんとなく、見惚れてしまうと言うか。目が釘付けになると言うか。
「……」
「……」
俺は、箸を皿の上に置いて、左隣をじっと見る。
美智留は、ぽんぽこ届く寿司を次々食べて、皿を重ねていく。
「うめ」
ふーん。
マグロが好きなんだ。
あー、中トロ。
ふーん、大トロじゃないんだ。
間が良いんだね、やっぱ。
「…、…。………」
「……」
「…」
俺の視線に、ようやっと気付いた美智留は、二、三度、こちらに視線を向けたり向けなかったりした後、無言で、俺との視線をジィと合わせる。
「「何?」」
お互いだ。
見事なシンクロ。
気持ちいいぐらいの。
「俺の食い方、変?」
「いや、変ではない、気になったけど」
「何が?どこが?」
「だから、もぐもぐしてるなぁって」
「…。ふーん」
ようやく美智留が変に思ったようだ。
まあ、そうか。
食べる姿をまじまじ見られるの、嫌だよな。
気付いた俺は、そちらから視線を戻し、また背もたれに深く凭れ掛かり、
「……」
携帯画面を点けた。
ともだちにシェアしよう!

